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ソードアート・オンライン 奇妙な壁戦士の物語
第二話 開始早々に迷子です
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 いや、これでは説明になっていない。確固たる理由は、彼がヒット&アウェイという戦闘方法ではなく、肉を切って骨を断つという戦いのほうが性に合っているからである。

 更に言えば、これからどのような攻撃をしてくるモンスターが出てくるのか分からないのだ。そして、どれだけ短時間で包囲され、集団で敵がソードスキルを放ってくるかも分からない。そのような場合、一体敏捷がどれだけの役に立つのだろうか。

 試行錯誤して最終的に生存率が一番高いのが、この肉を切って骨を断つという戦闘タイプだと、少年は考え抜いた。だからこそ、敏捷ではなくHPにポイントを振ったのだ。

 現在のHPは、2121/2121という、序盤から既に四桁までいっている。どうやら、このSAOというゲームは通常のゲームとは違いHPが上り易い設定のようだ。

 HPは一応レベルアップ時に上限値はアップするのだが、それでもHPが高い方が安全だと少年はそう思った。

 そして、少年の読みはある意味で当たっていたかもしれない。何故なら今、寄ってきた《マンイーターJr》四体をほぼ同時に、基本細剣ソードスキルの《リニア―》(剣を体の中心に構え、そこから捻りを入れつつ真っ直ぐ突く技)により瞬殺したのだから。それは文字通り他人から見たとすれば、勝手に《マンイーターJr》がポリゴン片と化して砕け散ったように見える事だろう。それもこれも、身体能力全引継ぎのおかげである。

 そして読みが当たっていたというのは、今しがた《マンイーターJr》を四体ほぼ同時に倒したせいで、レイピアの耐久値が四分の一を切ったのだ。これでは、気を付けて武器を使ったとしても精々後50匹倒せるかどうか、といったところだろう。研磨アイテム(武具の耐久値を回復するもの)は、既に5個あったうちのすべてを使っている。

 このレイピアが砕け散るのも、もはや時間の問題だろう。まさか初日にここまでのレベル上げをするとは思わなかった上に、迷子になるとも思わなかった。

 詰まる所、武器が無くなったが最後、頼れるのは己のHPと身体能力だけなのだ。確かに敏捷を上げれば攻撃を回避できるが、動き回れるのには限界がある。そして動き回れば、必ずといっていいほどにモンスターを連れる事になる。

 だからこそ、ここはジッとして動かず、出来るだけモンスターを惹きつけないように一体ずつ倒して、のんびりとこの辺り一帯を歩けるようになるまでレベリング(レベルを上げる行為)をするしかない。

 今のような集団で来られた時にはレイピアを、単体の時には現実世界で習っていた体術を使って迎撃をしようと、少年はそう決めて、ジッと静かに辺りを観察し始める。

(てか、災難にもほどがあるっちゅうに。マップデータが何やバグか知らんけど記録というか表示されへん上に、森の中
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