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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十五章 日来の女達
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強くはないことは確かね。あんたと同じ、皆のいないところでうじうじしてるのよ。そんなセーランが宇天長を救いに行った理由は簡単」
 とても簡単な理由だ。
 彼は度々、その言葉を口にしていた。
「好きになってしまったから、よ。好きになってしまったからほっとけないし、気になってしょうがないの。呆れるほど呑気だけど、可愛いところもあるのよねえ」
「好きになってしまったから、ですか。それで納得出来るんですから不思議なものですね」
「わたしも、そうだった。セーランがすきで、しょうがなかったときね、いっつもかんがえてたの」
「んもう、琴姫ったら。たまには私のことも想ってね」
「わかった」
 灯が急に美琴を強く抱き締めたため、美琴本人は苦しんだ。
 慌てて美兎は彼女を灯から引き離し、何の意味があるのか前に壁として飛豊を置く。
「おい、なんで私なんだよ!」
「やる気が無いようなので、役目を与えてやる気を上げようかと」
「これ絶対面倒事押し付けてるよな! てか明が怒ってるんだが、黒いオーラヤバいんだが!」
 不気味な笑い声と共に、何時の間にか消えていた黒いオーラが再び溢れ出るように彼女の周りを漂う。
 先程まで違うのは新たな芸能系術を発動したのか、長いその髪が逆立っている。
 怒れる鬼子の如く、歩む一歩で地面が揺れる。
 それは砲撃によるものなのだが、タイミングが良過ぎるため仕組んでいるのではないかと思う程だ。
 後退りする飛豊の背に恋和が張り付き、腕を前に
出し飛豊を自身の盾とした。
「ちょっと待て! お前も私を見捨てるのか!」
「何言ってんですか、そんな酷いことするわけないじゃないですか」
「今やってるだろ、今! さっさと美琴を渡してやれ、そしたら助かるから!」
「いやいや、美琴をやったら今度こそ離さないと思うのでしばらくは無理です」
「クソが! こうなったら取引をしよう。何が望みだ、言ってみろ」
「フフ、フフフ、フフフ……」
「“フ”だけじゃ分からないだろ、はっきり言ってみろ。て、聞いてないなお前! やめろ、近付いてくるな! 私は何もしてないだろ!」
 聞く耳を持たず、灯は近づいて来る。
 ふざけている場合じゃないだろ、と思うが言っても無意味無いことは分かっている。
 こうなったら腹を括るしかない。覚悟を決める飛豊の正面、数歩歩けば手が届く距離にいる灯が動いた。
 一瞬にしてその距離を積め、下から首へと右腕を伸ばし、こちらの息の根を止めに来た。
「そう言えば明の家系は――」
 言葉を言う前に、飛豊の悲鳴が響いた。
 この声を聞き付け、美兎の両親が来たのはすぐのことだ。
 おふざけが過ぎた彼女らが後で叱られたのは、もう言うまでもないだろう。



 町民グラウンドの周り。囲むように建っているナイター照
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