暁 〜小説投稿サイト〜
神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十五章 日来の女達
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「にしても私達、何もしてませんねえ」
 と言うのは、長莵神社の鳥居下にいる美兎だ。
 戦闘中というのに我関せず、と眺めるように戦いの様子を見ていた。
 美兎の他にも数名の女子学勢が、同じように鳥居の下にいる。
 一人は覇王会伝達者の飛豊だ。
「まあ、仕方無いだろ。戦えないんだし」
「他に出来ることがあるかも」
「見守ることで手がいっぱい」
「伝達者らしく、皆に戦況を伝えたりとか」
「レヴァーシンクとアストローゼの方で充分」
「やる気無いですね」
「運動系じゃないからな」
 ははは、と笑う二人。
 戦いの音を聴きながら、しばしの沈黙。
 え、ちょ、話題が尽きたんですけど。これどうしろと? 灯、ヘルプです。
 階段に美琴を抱きながら座っている灯に助けを求めたが、案の定無視された。
 美兎よりも美琴とじゃれついていた方が楽しいため、彼女の助けを断ったのだ。
「じゃあ、恋か……」
 だからと恋和に助けを求めようとしたが、先程誰かから通信が入り離れたためここにはいない。
 完全に手詰まりだ。
 何かやるべきことはないかと親に聞いたのだが、安全な場所で待機、と言われたのでこうしているわけだが。如何せん落ち着かない。
 巫女ならば制限付きではあるが力を使うことが出来るのだが、自分はまだ巫女候補のため力の使用自体を禁止されている。
 巫女候補ということは、つまりはまだ未熟者と言うことであるからだ。
 沈黙にそわそわしていると、上斜め右方向から天上に向かって一線を描くものがあった。
 何なんのかと目を凝らす美兎は内心、
 話題ゲット――! イケます、まだ私イケますよお!
 盛り上がっていた。
 方向からして左舷前方船・日暮の方を指し、期待に胸を膨らます子どものように目を輝かす。
「あれ、あれって何なんですかねえ? ね――?」
「なんかさっきから様子おかしいぞ」
「そうですか? 何時も通りだと思いますけど」
「美兎は沈黙苦手ですから話題見付けて嬉しいんですよ、きっと」
 言うのは灯と美琴が座っている階段の向こう側で、こちらに歩いて来る恋和だ。
 度々起こる揺れや、大気を叩く砲音のなかで笑顔のまま近付いて来る。
「そしてあれは緋翼ですね。どうやら辰ノ大花が騎神を出撃させたらしく、その対処として送り込むとレヴァーシンクが言ってましたよ」
「あの通信はレヴァーシンクからだったんですね。だったら別に離れなくてもよかったじゃないですか」
「え? あ、ああ、そうでしたね」
 何処かぎこちない笑いをしながら、階段に辿り着いた。
 振り向き、火炎ノ緋翼に取り付けられた腰装着型加速機|《ウエストスラスター》から吐き出された、流魔の塵で出来た航跡雲を見て、顔を空へと上げていく。
「他にもネフィアとマギトが向かったらしいで
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ