化物の力の一端、初代の感謝と謝罪
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なければ復活が出来ないのである。
因みに心臓さえ潰されなければ、頭が破壊されようが、腕が宙を舞おうが、吸血鬼の特性の一つである驚異的な再生力で元に戻る。
だが、切られたシリウスの左腕は現在、再生できていない。
何故か? それは濃密な死で切られたからである。
魔剣による切り傷だと傷の治りが遅い。それと同じ理由でシリウスの腕は再生していなかったのである。
「それが貴様の最大の弱点か」
「まあ、そうですね。私が尤も気をつけないといけない所ですよ。本当に」
他にも弱点があるのだが、心臓と言う弱点と比べると致命的なものではない。まあ、魔術に関する事と、耐久面に関することが主にだが。
「他の弱点も、大体目星がついた」
「……何ですかね?」
そう思っている中、弱点を発見したと言ったアテナの発言に、僅かだが心拍数が上がったのを感じた。
「貴様、転移系統の魔術しか使えない特化型の魔術師だ。それに吸血鬼の特性である再生能力のため、耐久力が無いな」
表情には出さないが、シリウスは内心では舌を巻いていた。
たったアレだけの攻防と少しの情報でそれだけの答えを導き出す智慧。流石は智慧の女神だと思い知らされた瞬間であった。
シリウスは他の魔術も一応は使えるが、適正があまりにも無い為、転移魔術ともう一つの魔術しか使えない特化型の魔術師だ。特化型過ぎて魔神と同格に扱われた時期もあったが。
そして、耐久力の無さ。驚異的な再生力は耐久力を犠牲にして成り立っていると考えている。まあ、確かに肉体操作が異能であるシリウスにはその弱点は克服できが、ソレをすると再生速度が遅くなるのだ。それも致命的に。一瞬で治る怪我が、下手をすれば一ヶ月も掛かるというのである。
他の吸血鬼がいたら聞いてみたいものだ。尤も居たらいたで、面倒なので、いない方が良いのだが。
(恐ろしいものですね。慧眼は高く智慧の女神としての格があり、武も秀で、冥府の神としての力も持つ。泉華様は完全な状態であるアテナと戦い一度殺して、約定を結ばせた。全盛期の私なら倒せたんでしょうが、それを人の身で行いますか。―――というより錆びつきすぎていますね、この体)
完全状態のアテナに挑み、一度殺した泉華の力量にも驚いていた。腕の立つ魔術師だったのが、神々の領域に踏み込み、人から外れた魔神や化物にされた元人間の自分とは違い、性能は歴代女当主の中でも最強最高だったとしてもよく殺せたものだと驚いていた。
あれもまた桜華様と同じ人から外れた逸脱者の一人なんですかね、と些か外れた考えをしていた。
「……これは、勝てそうにありませんね」
小さな声でシリウスは呟いた。
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