化物の力の一端、初代の感謝と謝罪
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「―――そう言うことか。まさか、そんな研究をし、それを行った者がいたとはな__吸血鬼」
「尤もモドキですがね」
「そのモドキが妾を磔にしている時点で十分化物だろうに」
磔にされながらもこの状況から脱する手段を考えているアテナ。
幸いにも魔術を込められたものではなく、単純に磔ているだけであったため、簡単に拘束が解けた。
そして、死神を連想させる鎌を躊躇無く振るった。目の前に居るのは逸脱者の一人。手加減するのは自殺行為であった。
「魔術的意味合いが無いので直ぐに抜け出せますよ。まあ、もう抜け出したあなたには関係ないですがねっ!」
ナイフとフォークを袖に収納し、転移魔術の応用で武器庫から一本の武器を取り出す。
それは一振りのメイスであった。ただ、叩き、粉砕する為だけの唯の頑丈な得物。
それがアテナの鎌を受け止めたのであった。
「……流石、闘神というところですかね。今の私では少しばかり辛いものですね」
「そう言いながら耐え切っている貴様は何だ、吸血鬼?」
互いの得物が触れている部分は互いの膂力により、赤く熱されていた。
片や千年近くの時を生き、力で耐え切っている吸血鬼モドキ。
片や御剣の家の守護についている、落魄した不完全な女神。
力と力の競り合いで、互いの得物の接触部分が赤くなり、熱を持ってきた。
そして、その膠着状態は長くは続かず、ただ頑丈なだけのメイスの熱を持っているところにアテナの鎌が触れ、メイスを切り落としたのだ。
「チッ!」
迫り来る黒い鎌にシリウスに、シリウスは舌打ちを。アテナは死が濃密なソレを乗せた鎌で切り裂こうとする。
速度は速い。接近していた為鎌の間合いから逃れるのは困難を極め、失敗すればこの身は二つに別れる。しかも心臓を切り裂くのだ。それは“非常にマズイ”。
「ならばッ!」
無傷で避けられないと考えたシリウスは鎌の柄部分に手を沿え、軌道を僅かにズラした。
その結果、心臓を切り裂く筈だった鎌は、左腕を切り裂き、シリウスの左腕は宙に舞、灰と化す。
シリウスは僅かに顔を顰めながらもバックステップを行い、アテナと距離を取る。
「―――流石の貴様も心の臓は不味かったと見えるな」
「ええ。アレだけ濃密な死を乗せた鎌で心臓を切られたら確実に死ねますからね」
シリウスの弱点。それは心臓である。吸血鬼の弱点、杭やにんにく。太陽の光、そして心臓。シリウスは心臓以外は弱点として存在していないが心臓だけはどうしようもなかった。そこを潰されれば自分は確実に死ぬと経験していたからだ。そうすると“特定”の条件を満たさ
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