第三十八話〜日常と動き出す歯車〜
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覚めた時、そこがお前にとっての生きる世界だ」
その言葉を最後に少女は女性の前から姿を消した。
ライが自分の過去を明かしてから数日が経過した。
その間、ライに対する六課メンバーの態度は以前よりも軟化していた。当初はライを捉えたことや疑ったことに罪悪感を覚えていた人が多くいたが、その人たちにライは言う。
「貴方がたのしたことは至極当然で、そして仲間を心配してやったことですから気にしていません。もしそれでも自分に罪悪感を覚えるというのなら、それは自分自身が許したくないだけの筈です。」
ライはシャーリーがスザクに残した言葉を使うと、その人たちも最初は戸惑ったが徐々にライとの接し方に違和感を無くしていった。
そしてライの方も、以前よりも六課の人達と接することが多くなった。正確には、ライの元に行く頻度が増えた人が多くなった、というものだが。ライもそれまでどこか一歩引いた付き合い方をしていたのをやめ、より砕けた付き合い方をするようになっていた。
機動六課・訓練場
その日の朝もいつものように空間シミュレーターを使用し、六課フォワード陣は訓練を行っていた。
そして新人達となのはとの模擬戦が終了し、今はもうひと組の模擬戦が始まろうとしていた。
今回使われているシミュレーターの環境設定は自然が豊富な林であった。その中にある少し開けた場所にその2人は立っていた。
「全力で行くよ!」
「うん」
片ややる気満々な女性。片や少し疲れた表情を見せる青年。その2人がある程度の距離をとって対峙している。
その女性、フェイトは愛機であるバルディッシュを構える。それに応じて、ライも展開した蒼月を構えた。
(フェイト、やる気に満ちてるなぁ〜)
どこか現実逃避気味にライはそう考えていた。
こんなにもフェイトがやる気満々なのにはある理由があった。先日なのはがライに依頼した、ティアナの指揮官としての指導。その内容はライにチェスで勝つことであった。
初め、それを聞いたティアナは困惑した。しかしその困惑も一度やってみるとすぐに吹き飛ぶ。
初戦でお互いに十手ずつ打ち合ったところ、ライが紙とペンを取り出し何かを書き始める。そしてその紙をその場にいたなのはに預け、チェスを再開する。それを見ていた一同はライのその行動に理解できなかった。だが、ライがチェックメイトと言って決着が着いた後、先ほどのライの行動の意味が判明する。
「なのは、さっきのメモを読んでくれる?」
「え、うん」
なのはが読み上げていったのはチェスの棋譜。しかもその手筋は今行われたライとティアナの対局の内容そのままであったのだ。その場にいたライ以外の全員が呆然とする中、ライは言う。
「
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