暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross storys〜
episode of cross:欠片
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上体を起こす。

びし、びし、と体中が激痛に軋む。

いまだぐらぐら揺れつつある視線を周囲に向ければ、他の四人も顔をしかめつつ上体を起こしつつあった。

再びホークはボス《ジェネラル・ザ・デュアル・ジャイアント》に視線を戻した。今の攻撃で、巨人の攻性化範囲(アグロレンジ)に自分達が入ってしまっている事は確実となった。

いまにもあの漆黒の巨人が持ち場である橋を離れてこちらに向かってくるやもしれないのだ。だが───

───来な……い…………?

そう。巨人は来なかった。

そして動かなかった。

ただ、挑発するように立ち尽くしていた。

醜い二つの顔を醜悪に歪ませて、引き千切るように嗤っていた。ぶちぶち、と肉の繊維を引き裂くように嗤っていた。

その表情は、はっきりとこう言っている。お前らなどいつでも殺せることができる、と。

「じょ……う、とうだコラ…………ッ!」

凄まじいまでの憤激の色に声を彩り、隣で小柄な体が上体を起こした。

血色のフードコートと、漆黒のロングマフラー。レンだ。

闇のように真っ黒なその両の瞳が、薄い宵闇の中で仄かに紅く光り輝いているように見える。

「おい、レン………やめ、ろ……」

視界の端のセモンが立ち上がりながら、そのコートの裾を掴もうとした。

死地へと無策で突っ込む猫を、立ち止まらせるために。だが、それよりも先に紅衣の少年が動いた。

ズッバアアァァァンンン!!という凄まじい音という名の衝撃音がホークたち四人の顔を叩く前に、レンが掻き消えた場所の足元から大量の砂利が巻き上がり、まるで散弾銃のごとき勢いで顔にぶち当たった。

完璧に音速を超越したレンの胴体は、すぐさま周囲に不可視の凶刃を展開させた。

五人の中で唯一の中・遠距離型。

鋼でできた鋼鉄の糸。

触れれば指ごと切断されそうなその断面は音もなく漆黒の巨人に迫り、そのダークグレーの皮膚にめり込もうとして───

ドッ!

という鈍い音が響いた。

巨人が神速のごとき勢いで振り回した棍棒が、レンの小柄な体格を捉えた音だった。レンが、冗談みたいな勢いで吹っ飛ばされる。

見えはしないが、今レンのHPはぐんぐんデッドゾーンへ、死の淵へと近付いているのだろう。

喉が干上がる。

このまま地面に激突したら、余ダメージが加算されてしまう可能性がある。

それはなんとしても避けねばならない。

考えるより先に、体が動いていた。

背後で誰かが叫ぶような声を背中で受け止めながら、ホークは背に吊った己の愛剣を音高く抜剣しつつ、両足に全力で力を込めた。雄叫びが自然と口から漏れ出る。

落下してくるレンを抱きとめる。途端に巨人がうごめき、ホークの等身大くらい
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