妄想―人外の弟子、入学す―
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失敗した)友人の姿、広がる(かもしれない)交友……等々様々な楽しみがあるだろう。
(それでもこれは無いだろう)
目の前で非常に物腰の低い態度で、俺に自己紹介を頼む副担任の山田真耶先生が見える。身長は俺より低く、俺より胸がでかい。……女性だから当然か。
これ以上現実逃避もしてられないため、後ろを振り返る。最前列の真ん中故に教室全体が見渡せるが……これは辛い。
「えー……織斑一夏です。よろしくお願いします」
内心冷や汗をかきながら俺は作り笑顔を浮かべて自己紹介する。
クラス中から突き刺さる視線、更なる情報開示を所望するという口パク大多数、極東の猿めという視線一名、わが生涯に春来たり! とばかりの表情をする者数名。
……さて、ここで俺のクラスの男女比率を公開しようと思う。
29:1。勿論1は俺である。
ここはIS操縦者を育成する高校(超倍率高い。五桁の倍率なんて初めて見たぞ俺は)IS高校である。半ば女子高のようなものであるが、俺は訳あってここにいる。
ここの女子の視線はきっと珍しいもの……まあ、女性しか乗れないと言われるISに世界で二番目かもしれない男性IS操縦者なのだから、差し詰め俺は動物園のパンダと同じ状況なのだろう。
というわけで、俺はちょっとした反抗の意も含めて君ら女子生徒の意に背いてみる。
「――以上です!」
どうだ――。
ドヤ顔を浮かべようとした瞬間に、後頭部に何かの気配が高速で迫って来るのを感じるも、時既に遅し。とでも言うべきか、既に直撃の模様。
せめてもの気休めで、大げさな動作をすることで多少の衝撃を緩和。
それでも痛い。一体誰だよ、こんな馬鹿力な人は――。
「げえっ、関羽!?」
また叩かれたが、今回はちゃんと衝撃を流せた。
「っち。誰が三国志の英雄か馬鹿者」
……この人思ったよりもダメージを与えられなかったからって舌打ちしてるよ。
いいじゃないか。音が大きい所為で周りは少し引いてるみたいなのに。
突如俺の背後に現れた担任の先生は、若干悶えている俺を無視して、教壇に立つ。
あ、山田先生に話しかけた。山田先生デレた。
「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言う事はよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛えぬくことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
なんという暴力宣言。信じられるか? 俺の姉だぜ?
それでも、まあ他の女子はそうは思わないのか……。
俺は周りの空気を察知して、頭を抱えて机の上に伏せる。
「キャ―――! 千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです! 二次元から!」
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