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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第九話
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た男の全身にバインドがかけられ、蓑虫状態にされてしまった。地面に叩きつけられてもがいているが、外れる気配はない。

「そうやって吠えてられんのも今のうちだぞクズが。テメェが『アレ』を持ってることは調べがついてんだよ」
「何のことだかさっぱりだな……」
「とぼけんのは勝手だがな。俺としちゃどっちでもいいんだよテメェが喋ろうが黙ろうが。喋ってくれた方が楽にすむってだけの話でしかない」
「何を……」
「一度しか聞かねぇぞ小僧。よく考えて答えろよ」

 相手の話すら遮り、青年がドスを効かせた低い声で尋問でもするかのように圧迫を与えつつ質問する。

「『根源の種』はどこにやった?あれは門外不出だ。ジュエルシードよりタチの悪い代物だってことぐらい、テメェらが知らねぇはずねぇだろ?」
「……知らないな。俺が来た時は誰かに奪われた後だった。反応をこの近くで見たから来ただけだ」
「なるほどな、それがお前の答えか?」
「ああ」
「よしわかった」

 すると青年は、左手で胸元を掴んで引きずりあげると右の拳を握り締める。いきなり目の前で何を始めるのかと止めに入ろうとするも、青年の一睨みで足がすくんでしまう。

「おいお前、何す……」
「兄ちゃん。今ここで見たことは全て忘れろ。そうすりゃお前さんには、この件に巻き込まれることはない」
「いやだから……」
「いいな?忘れろ。でなければ巻き込まれて死ぬ。誰かに漏らそうものなら俺が殺す。それだけの代物なんだよ、アレは」
「……」

 普段の気さくな雰囲気を微塵も感じさせない、まさに研ぎ澄まされた真剣のような表情と氷の如く怜悧な雰囲気に飲まれ、竜二はつい頷いてしまった。

「よし、いい子だ」

 そして青年が拳を引くと、そのまま肉を引き裂くような音と共に男の腹部を貫いた。背中から拳が飛び出しており、様々な臓器がその場に散らばる。凄まじい勢いで吹き出していく血液と舞い上がる血腥く生々しい臭気。

「な……」

 竜二は完全に言葉を失った。人殺しなどテレビの向こうの出来事というほどまでボケたわけではないが、目の前で殺人が起ころうなどとは、普通に生きてきた日本人であるならば誰も想定しないだろう。それも武器などは一切使わず、拳一本で腸を文字通りさばいて見せるかの如く凄惨であったため、度合いも倍増。

「おっと兄ちゃん、刺激は強いかも知れんが、この周りは誰も知らないから安心してくれ。もはやこいつがここにいたことすら、この結界を解けば周囲の皆様からすりゃ忘却の彼方だ」
「そう、いう問題や……のうて……」
「んん?ああそうか、まだお前さんにとっちゃ、目の前でこんなショーは早かったか?」

 腹部を貫き、内臓を握りつぶした肉体を放り出し、まるでなんでもないことかのように語る青年を見て
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