追想〜金色の炎、白銀の灰塵〜
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「成程・・・・・・確かに灰塵の様につかみどころの無い男よ・・・・・・しかし、一撃が少々軽すぎるぞ・・・・・・!」
くそ・・・・・・!
やはりだ、パワーが違いすぎる。純粋な『速さ』に特化した僕では、堅い装甲に護られたこの騎士に致命傷を与える事が出来ない。刻一刻と僕らを取り囲むMobが増えていっている以上、それは致命的な事だった。
「キュイ!」
月駆の鳴き声が聞こえた。それはあたかも、『俺を使え』と、そう言っている気がした。
(・・・・・・そうだね、月駆)
「月駆!」
手綱を打ち、魔騎士に向かい突進する。あまりに直線的な軌道に、彼も騎士道を刺激させられたのだろう、迎え撃とうとぐっと剣を引く渾身の突き技の溜めを作って突進してきた。
「今だ、月駆!」
僕は、月駆から飛び降りた。
僕と言う重りが無くなったことで一気に加速した月駆は、鋭い爪を一点に集中させて魔騎士の胸に渾身のキックをかます。すぐに背後へ振り向き、剣を前に突き出し、刀身に手を添えて半身に構え、呪文の詠唱をしている僕に火球を放った。
「行くぞ、月駆ぇ!」
月駆が轟然と放つ火球を、僕の剣が貫いた。
僕が唱えた魔法は『属性武器化魔法』。何かしらのMobをテイムしたテイマーだけが使える特殊な魔法で、そのMobが放つ属性攻撃をそのまま武器に変え、自らの攻撃に上乗せする魔法だ。
ワード数も少なくMobが強力であれば強力であるほど威力も上がる優秀な魔法だが、同時にMobの攻撃と合わせるタイミングを誤ればもろに自分が攻撃を喰らってしまうリスクが付きまとう、Mobとの信頼関係が肝心な魔法である。
・・・・・・・そして、僕の身長の倍近い長さを誇る黄金の炎剣を、僕は真横に構えた。
「おああァァァァッ!」
右から左へ、左から右へ。一撃一撃が燃える炎の波となり、僕達を囲む軍勢を焼き払い、斬り払い、灰塵へ還す。僕のオリジナル・ソードスキル、水平七連撃技『アッシュ・トゥ・アッシュ』。
「ぬ・・・・・・・おおおお!」
六撃目の水平斬りを、銀色の剣で受け止める。この攻撃で仕留め損ねれば、もう後は無い。一定時間動きが止まっていたため、ちかちかと黄金の輝きが薄れて行く。兜の下はどんな顔か分からないが、薄く微笑んでいる様に見えた。が、僕には、勝利の女神がついている。
「が、あああああ!」
神速でほとばしる矢が、腕ごと銀の剣を吹き飛ばす。彼が僕との鍔迫り合いに気をとられている間に、シノンが得意の遠距離射撃で彼の肩を撃ち抜いていたのだ。
「らあああ!」
剣がなくなり、まともに六撃目を喰らって切り揉み回転しながら竜の背から吹き飛ぶ魔騎士。ラストの七撃目、渾身の突きが、月駆の蹴りによって穿たれた罅に突き込まれた。その瞬間魔法効果が切
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