始まりは不幸から
今この時代。
黒夜叉は残酷な世界の中で幸福を見つけようとしていた。
周りの人間は自分のことを慎重に、壊さないように、傷つけないようにと、そっと優しく扱ってくる。だって割れたりしたら大変だ。なんせ破片が自分の方に飛んでくるから。
だからみんな黒夜叉を傷つけないように、優しく優しく接してくる。
しかし、黒夜叉はもう壊れているのに周りは気づかない。涙を流しているのに誰も気づかない。
当たり前だ。
周りの人間に黒夜叉は見えないのだから。黒夜叉とはただの記号だ。周りはその記号を慎重に扱う。黒夜叉の記号を貼られた人間なんて御構い無しに。
ただ人外として扱われる。
だから黒夜叉は泣く。
片目で延々と泣き続ける。
世界に一人で独り。
だから黒夜叉泣く。
片目で延々と泣き続ける。
白夜叉は泣かない。
白夜叉は幸福の世界の中で絶望しか見えないから。
周りなんて関係ない。視界に入ろうと白夜叉の瞳には写らない。
周りがどんなに自分を傷つけようと構わない。
白夜叉は笑う。
白夜叉は嗤うのだ。
黒夜叉が泣くから、白夜叉は笑うのだ。
世界を嗤い。自分も嗤う。
頬が濡れていることに気づかないまま。
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