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アッシュビーの再来?
第1話、プロローグ

前書き [2]次話
 銀河帝国が皇帝フリードリヒ4世を戴く時代。銀河帝国宮内省は、飽きやすい皇帝に可憐な美少女を次々と探し出ては差し出していた。

 皇帝に男児を生んで貰うことは帝国の安泰に取って必要不可欠なことであったが、兵員不足予算不足に悩む軍務省などからは、楽な仕事に多くの人手と予算を費やしていると非難されていた。

 だが、楽どころか、この任務に就く宮内省の職員達は、兵士のような危険を負っていた。

 帝国暦477年某日、帝都オーディンの裏町でコルヴィッツという名の宮内省の職員が命を落とした。 

 ただの交通事故死。平凡な死に世間では誰も注意を払わなかったが、皇帝のために美少女を探す任務につく職員達は複雑な気持ちでコルヴィッツの死を悼んだ。

 美少女を探す宮内省職員の死亡率は異常なほど高い。その原因は嫉妬に燃えるベーネミュンデ侯爵夫人の怒りだった。彼女の憎悪と長い復讐の手は、ライバルとなる少女に届まらずその紹介者にも向けられていた。

 今やそのことは宮内省の公然の秘密だ。隙を見せれば夫人とその取り巻き達は、容赦なく宮内省の職員を奈落の底に突き落とす。彼らはまさに命がけの戦場で、兵士の如く忠実に任務をこなしていたのである。

 いずれにせよコルヴィッツは殉職した。そして彼が死の間際に見つけた絶世の美少女が、後宮に上がる機会を失ったことだけは確かだ。

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