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魔法科高校の神童生
Episode14:執行人
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るつもりなのか…?」


誰もいない廊下に、克人の自問が響いた。














時は過ぎて夜。今日の昼間、魔法科高校に乗り込み、九十九隼人と接触を図った男、五十嵐修哉は窮地に立たされていた。
細い路地裏の突き当たり、月明かりしか照らすもののないこの場所で、彼の目の前に立つのは顔を隠した男。
自らの仲間であり、無頭竜の執行人であるその男の登場は、つまり修哉の無頭竜追放、及び死を意味していた。


「覚悟はいいか…?」


流暢な日本語。だが、執行人の男はラテン系のアメリカ人だ。
無頭竜は、勢力拡大のために危険を冒しつつ各国の凶悪魔法犯罪者を集めて回っていた。五十嵐修哉もその一人であり、執行人、ラファエル・ロドリゲスもそれである。だが、魔法力の差は歴然。修哉もかなりの魔法力を有するが、ロドリゲスには遠く及ばない。だからこそ、修哉は任務請負人に留まり、ロドリゲスは執行人にまで昇りつめたのだ。


「覚悟ったぁ死ぬ覚悟ってことか?」


無機質な目を向けて来る仲間に、修哉は苦笑いを浮かべた。


「死ぬってのはよ…よく分からねえんだわ。だから覚悟なんて言われたってなぁ……」


そうボヤいて後ろ髪を掻き回す。
今、生きている人間は、例え人を殺したことはあっても、死んだことは一度もない。だから、なにがあるか分からない。想像したときに湧き上がってくる本能的な恐怖だけが、人間が唯一持つ死についての情報だ。
身近に迫った死の恐怖を感じながら、修哉は薄く笑った。


「なにがおかしい…?」


低く響いたその声を、修哉は笑みを浮かべたまま聞き流した。


「ま、今の通りよ……死ぬ覚悟なんざできちゃいねえ」


今回の任務のために渡されたフーデッドローブを脱ぎ捨て、修哉は小型のダガーを取り出し、そして切っ先をロドリゲスに向けた。


「精一杯抗わせてもらうぜ、執行人さんよォ!」


月明かりのみが照らす路地裏、ヒビ割れたコンクリートを修哉は蹴った。

















ーーto be continuedーー







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