Episode14:執行人
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巌のような巨躯に、他者を従えうる王者のみが纏える雰囲気。
十文字克人。当校の部活連会頭にして最強の三巨頭の一人、そして十師族の一角である、『十文字家』の次期当主という数多くの肩書きを持つ人物だ。またそれに比例して魔法の技術も卓越しており、消失を使った俺でも勝つのは難しかった。
ちなみにこの人と俺の交流は以外と深く、よく模擬戦をして遊んでもらっていた。しかしそんな彼も、俺が、九十九家が暗殺家業をしていることは知らない。知られてはいけない。
「どうしたんですか?」
俺がそう問うと、十文字先輩はいや、と言った。
「渡辺に呼び出されてな…これから、司波に桐原逮捕の経緯を聞きに行くところだ」
なるほど。部活連の会頭というのにも他に、十文字先輩は懲罰委員会にも所属している。恐らく、達也から話しを聞いて、今日逮捕された二年剣術部員、桐原先輩の処遇を決めるのだろう。
「お疲れ様です」
本当にこの人の仕事量には頭が上がらないね。誠心誠意を込めた俺の一礼。頭上で苦笑いする気配があって、流石に芝居がかりすぎたかな?と思ったとき、
「聞けば、どうやらお前も災難だったようだな」
この十文字先輩の言葉に、俺の思考が停止しかけた。なぜだ…なぜそんなセリフが出てくる?確かに俺が霊子光線過敏症とほぼ同じ状態であることは、十文字先輩も知っている。バカ騒ぎのせいで活性化したサイオンの奔流に飲み込まれたことへの言葉か?
いや違う。十文字先輩は、そんなことくらいなら言いはしない。
ならば、考えられる可能性はあと一つ。俺が、あの無頭竜の男に襲われたということを知っている。
それは厄介だ。狙われたのは俺、いや俺の力。十師族には、俺の本当の力のことは伝えておらず、また、両親に秘匿するようにと言われたことだ。もしあの時の会話が聞かれていたら、マズイ。
このままでは、気まぐれシェフ(姉さん)のUMAフルコース……
つまり人生BAD ENDに直行してしまう。それは、なんとしてでも阻止しなければならない。
思わず警戒を強めた(主に姉さんの料理の想像に対して)俺だが、
「その顔、やはりなにかあったようだな」
「………え?」
シット!!まさか、かまかけられてたとは思わなかった。くっそ。苦虫を噛み潰したような表情で固まってしまった。
「…なにがあったかは知らんが、気をつけろよ」
だが予想に反して、十文字先輩はこれ以上追求をしてこなかった。それを訝しむ前に俺は安堵を覚えた。
だから、この時の十文字先輩の警告の意味など考えもしなかった。
「……では、俺は用事があるんで」
そう言って、俺は足早に廊下を去った。
「……本当に九十九を、人間兵器にす
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