Episode14:執行人
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上やるなら風紀委員長に言いつけるぞ!」
責任を思いっきり丸投げした。
ピチョン。薄暗い空間に水滴が落ちた。至る所に転がっている異臭を放つその存在を見ながら、青い髪をもつ男は嫌悪感を露わにして歩みを進める。分厚い靴底が床を叩く音のみがやたら響く。
そして男は、不意に俯けていた顔を上げた。見上げた先にあったのは一つの重厚な扉。男は溜め息をつくと、一度瞼を閉じた。そして開く。
「20人弱か……」
男は日本語でそう呟くと、手を扉に触れた。
「さて、仕事の時間だ」
掛けていた狐の面を被り直し、男は自分の背丈の1.5倍はありそうな扉を吹き飛ばした。
『反政府組織イェツァー壊滅』。その報告が大亜連合中に流れたのは、そのすぐ後のことだった。
「いやー、災難だったね達也」
「責任丸投げしたお前に言われてもな……」
清々しいまでの笑顔でそう言ってのけた隼人に対する達也の返答は苦笑い気味のものだった。
それもそのはず、先程の乱闘を止めに入った隼人は自分の力で解決しようとせず、学校を統べると言っても過言ではない三巨頭の内の一人、風紀委員長、渡辺摩利の名前を使って脅したのだ。
「いや、でも効果的面だったでしょ?」
「まあ、確かにな…」
そう。隼人が摩利の名前を出したあのすぐ後、激昂していたはずの剣道部員たちが誰一人の例外もなく青い顔をして退いていったのだ。
その様子を見て流石の隼人も「渡辺委員長…一体なにやったんだ?」と呟かずにはいられなかった。
「んま、大事にならなくてよかったね」
そう言って隼人は、視線を闘技場の出入り口に向けた。
(達也が剣術部員と戦ってるときと、俺が介入したときに感じた視線……なんか、きな臭いな…)
「どうかしたのか?」
「ん?いやなんでもないよ。さて、達也、俺はこれから美術部に行くから」
「サボるなよ」
「サボんないよ!」
もはやお決まりとなった問答をして、隼人は足早に闘技場を去っていった。
「あれ、エイミィ?」
「あ、隼人だ」
美術部のデモンストレーション場所へ向かう道中で、隼人はばったり一人で歩くエイミィと会った。
「一人でどうしたの?紅葉さんとかは?」
隼人が何気なくそう聞くと、エイミィは何故かバツの悪そうな表情を浮かべた。ちなみに紅葉とはエイミィの友人のことだ。隼人はエイミィの紹介によって彼女と出会ったの
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