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とある六位の火竜<サラマンダー>
とある土曜日
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を手にとる。そこに書かれていたのは、そのような事実は認められないために使用許可はだせないというもの。

「………」
「どこへ行く気だ?」

立ち上がり、部屋から出ようとした蓮を女が止める。

「我慢の限界です。上の奴等を潰してきます。」
「やめておけ。」
「こんなの学園都市上層部がグルに決まってるじゃんか!!」
「死ぬだけだぞ。」
「俺はレベル5だ!そんな簡単には殺られない!」
「恐らく暗部も絡んでくる。レベル5もいないとは限らない。勝ち目があると思ってるのか?」
「じゃあどうしろって言うんだよ!!いつまでもあいつらをあのままにしておけないだろ!」

怒りに任せて叫ぶ蓮。いつの間にか敬語もとれてしまっている。しかし、怒りに染まっていた表情が泣きそうに崩れる。

「……どうすればいいんですか、木山先生……」

蓮の表情を見ると、白衣の女性、木山春生《きやまはるみ》はため息をついて蓮に言う。

「落ち着け。焦ってお前が死んでしまっては意味がないだろう。あの子達が起きた時に見たいのは神谷、お前の笑顔だろ?」
「でも……」
「大丈夫だ。今、ツリーダイヤグラムに代わる演算方法を考え付いた。」
「本当ですか?」

木山は頷く。そんな木山のおかげで蓮は落ち着きを取り戻す。

「じゃあ、任せます。なにか協力できることがあったら言ってください。」
「くわしく訊かないのか?」
「先生を信じてますから。俺も陸もみんなも。」

じゃあ失礼します。そう言って蓮は扉から出ていく。木山はそんな蓮を、レベル5であり、自らの教え子であり、置き去り《チャイルドエラー》。唯一実験を逃れた神谷蓮を複雑な心境で見送った。





その夜、御坂が白井とともに明日プール掃除をするはめになったと佐天からの電話で聞いた蓮は御坂に同情するしかなかった。


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