第5章 契約
第64話 勝利もたらす光輝
[10/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
風の精霊たち。
その精霊たちが、ワイバーンの存在する魔界への扉を……今、開いた。
刹那、轟とばかりに風が舞い、俺と、俺の胸の中の少女を包み込む。
そう。これは、間違いなく魔界からの風。
その一陣の風が過ぎ去った後、その場に存在して居たのは……。
「ワイバーン。これから、西に向かいつつある飛空船を追いたい。
手伝ってくれるか?」
ガリア両用艦隊が出航してから六時間。ハルファスが遠視を行った結果から推測すると、百キロメートル程度は進んでいるはずですが……。
それでも、流石にこの混乱状態に有ったブレストの街を捨て置く訳にも行かず、上陸して来て居た半魚人。地球世界ではマーマンや、アズミ、インスマウスなどと呼ばれる存在と同種の連中を駆逐した後、短い休息を挟んでのこの追跡作戦の開始だったのですが。
もっとも、ガリア両用艦隊旗艦内に置いた俺の指標が無効化されていた事で、出鼻をくじかれた形と成って仕舞いましたが……。
俺の問い掛けに対して、高くワイバーンが啼く事に因って、今回の急な出航を行ったガリア両用艦隊の追跡作戦が開始される事と成った。
☆★☆★☆
何処か孤独の地で…………。
翼ある竜が、闇の空を滑り行く。
月の光を映したその肌は蒼銀に光り輝き、全身に纏い付く羽衣のように感じるそれは、彼が纏いし風の精霊たち。
ブレストの街を飛び立ってから一時間。前方には、既に二十隻以上のガリア両用艦隊に所属する飛空船が三重縦列陣を組み、遙か西に向かって進む姿を捉えていた。
彼我の距離は、大体、三キロメートルほど。
尚、この世界の臼砲の最大射程は……詳しい数値は分からないけど二キロメートル程度だと思う。但し、それは最大射程で有って、有効射程はどう考えても一キロメートルもないでしょう。まして、臼砲。つまり、放物線を描くように放たれる砲の為、俺の乗るワイバーンに命中させる事は不可能と考えても問題なし。
いや、おそらく、空中戦で砲戦を挑む場合は、かなり接近しなくては砲弾を当てるようなマネは出来ないと思いますしね。
何故ならば、通常の海戦の場合は、最初の砲を放った後に、着弾した時に上がる水柱で照準の誤差を修正したはずです。そして、当然、空中戦では水柱など上がるはずは有りませんから。
そう考えた瞬間。後方の艦より飛び立つ数体の何モノか。
月下に飛び立ったその黒い生命体の翼は、まるで伝承上に伝えられる堕天使や悪魔その物の形状をしている。
いや、あれは……。
「あれはガーゴイル」
俺の傍ら。ワイバーンの背の上から前方を見つめた湖の乙女が、そう呟く。
ガーゴ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ