第5章 契約
第64話 勝利もたらす光輝
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自身が負わなければならないリスクの事。
剪紙鬼兵に関しては、能力が低い分、軽いリスクで済むのですが、飛霊の場合は……。
問題は……。
俺は、遙か沖合を見つめ、其処から、ブレストの街に接近しつつ有る現象を見つけ、慄然としたのだ。
そう。遙か海の彼方から近付いて来る黒い、巨大な水の壁を見つけて……。
その瞬間、左わき腹の表皮が弾け、白の海軍服に真紅の彩を付け足す。
しかし……。
しかし、同時に。微かに、首肯いたような気配を腕の中に感じた。
そう。今の俺は一人ではない。
自らの左側に少女をゆっくりと解放し、その場で固定。
そして……。
ほぼ身長差に等しい距離からやや上目使いに俺を見つめる彼女の視線と、やや上からの俺のそれとが、今二人の丁度中間地点で結び合った。
その瞬間、右足の表皮が弾けた。
「大丈夫。あなたは、わたしが護る」
彼女の透明な声が、俺に答えを与えた。そう、それは一切の迷いを感じさせる事のない強い言葉。
そして、それが俺と彼女の約束……いや、誓約の言葉で有った。
その瞬間、まるで意識を失ったかのように、全身の力を失い俺の元に倒れ込んで来る少女。そして、その小さな、更に、とても柔らかい身体をしっかりと受け止める俺。
しかし、その俺の精神の内側に、確実に存在している彼女。
その次の瞬間。身体中を駆け巡る霊気が、爆発寸前にまで高められて行くのが自覚出来る。
但し、それは非常に爽快な気分。意識自体はより明確となり、そして、普段以上に、湖の乙女を強く感じる事が出来る。
刹那。急速降下で、そのブレストの街を完全に破壊し尽くそうと接近して来る巨大な水の壁の正面に立ち塞がる俺と、そして、俺の腕の中に居る彼女の身体。
その瞬間。背中の表皮が同時に二か所、そして、左の頬が弾けた。
やや左足を後ろに引き、右足を前の形。所謂、半身に成って抜き打ちの構えに入る俺。
左腕は彼女の身体を。右手は未だ徒手空拳の状態。
呼吸により外気から……。そして、土地神の加護を受ける事により龍脈から直接取り入れた自然の気を、そのまま俺自身の気へと変換させ身体中……。いや、自らの腕の中で眠る湖の乙女の身体すらも使用して高められて行く霊力。
そう。二人の身体の間をやり取りされる毎に加速され、更に輝きを増して行く霊気。
半身。抜き打ちの構えに成り、更に右腕へと集まって行く俺たち二人の霊気。
既に指呼の距離へと近付いた巨大な水の壁から、地鳴りに等しい轟音が発せらる。猛烈な勢いで吹き付ける暴風が精霊に護られし俺と彼女の前髪を弄り、身体の彼方此方から止めどなく流れ出る紅き生
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