第5章 契約
第64話 勝利もたらす光輝
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来るように成りましたから。
そう。事、ここに至ってはそう考えるのも止むなし、……と言う状況ですからね、これは。
確かに、急に出航したのは、暴徒に貴重な軍艦を壊されたり、奪われたりするのを防ぐ意味だった、と考える事も可能でした。更に、現在、国際情勢も色々とキナ臭い状態ですから、艦隊が急に出航しなければならない緊急事態が発生した可能性もゼロではないと思っていましたが。
まして、ここからずっと西に向かった先に存在するのはガリアの王都リュティス。到着までは後、二十時間ほどの時間を要するはずですが、それでも、このガリア両用艦隊のクーデターに等しい動きに気付いている人間がどれだけ存在して居るかと言うと……。
まして、ブレストの街を倉庫に集めた燃料・弾薬と共に吹っ飛ばそうとしたり、ダゴン召喚を囮にしたりしてまで成そうとしたクーデターです。
少なくとも、王都を完全に灰にするぐらいの覚悟は持って居るでしょう。
そう考える俺なのですが、ただ、それにしては少し解せない部分。妙な引っ掛かりや、疑問点にも似たもやもやした感じが残って居るので……。
彼我に距離を三キロメートル程度に維持しながら、大きな弧を描いて縦列陣の先頭に立って居るはずのガリア両用艦隊旗艦の前に出る為の行動を開始したワイバーンの背で、更に思考に沈む俺。
確かに、火石を使用して攻撃をするのは理解出来ます。この距離では臼砲は使用不可能ですし、マスケット銃や大弓。まして、系統魔法の射程外で有るのも事実。
しかし、ダゴンを召喚して俺の足止めを行ったような相手が、追っ手に対してこの程度の反撃しか出来ないなどと言う訳はないのですが。
まして、水の眷属に空中を飛ぶモノは居なかったような記憶も有ります。しかし、それにしたトコロで、危険な追っ手に対しては、もう少し気の利いた御持て成しの方法と言う物も有ると思うのですが。
決して留まりたいとは思わぬ場所で…………。
「シルフ、そしてハルファス。風の精霊力の制御を行って、あの艦隊を地上に軟着陸させてくれ」
どうも、よく判りませんが、あの艦隊が敵で、精霊力を使って浮遊しているのは確実ですから其処の部分に介入する事は簡単ですか。
敵の思惑に対する詮索は後回し。そう考えてから、先ずは相手の足を止める作戦の実行を風の精霊を支配する式神たちに依頼する。
まして、上空から見下ろす限り、この近辺に街や村は見当たらず、山岳……とまでは言いませんが、小高い丘と森林地帯が続く地形。ここならば、戦闘で周りに大きな被害を出す事も考えられません。
そして、
俺の傍らで、俺と同じ方向に視線を向ける少女に対して、
「湖の乙女。あの艦隊が軟着陸をしたら
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