暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第五十話
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がどうなるか解らない、こんな場所で何かする気はないさ。死亡フラグになっちまう」

 台詞の最後は、シリアスな雰囲気に耐えかねて冗談めかした言葉になってしまったが、これは俺の心の底からの真実だ。
……まあ視界の端に写る、一目もはばからずイチャイチャしてる黒と白の対照的な服を持つ新婚夫婦は、少し見ない方向で。

「俺は……リズが好きだ。だからこそ、きちんとした場所で言いたい」

 当の本人がいないところでのみ語れる本心は、ざわざわと騒がしい攻略組プレイヤーの歓声に消え去っていき、もうこの浮遊城のどこにもない。
これでクラインあたりがリズを俺の背後に呼んでいたりすれば、俺は恥ずかしさでショック死する自信があったが、幸いにもそんなことは無かったようだ。

「……そうか。真面目なヤツだな、テメーはよー」

「そういうことなら、死ぬんじゃないぞ」

 お節介な年長者二人は思い思いの言葉を吐きながら、自分たちのグループの待つ場所へと戻っていく。
俺たちがこんなことを言っている間に集合時間になったらしく、転移門から現れるヒースクリフに対し、血盟騎士団の大抵のギルドメンバーは敬礼をした。

 通常ならばヒースクリフは困ったように苦笑して返すのだが、この状況ではそういう訳にもいかず、ヒースクリフは俺たちに向かって毅然と声を張り上げた。

「諸君、今日はこの場に集まってもらって感謝する」

 このまま演説をする気ではないらしく、ヒースクリフは言葉をそこで切って懐から《回廊結晶》を取りだした。
半数が全滅した俺たち偵察隊が、ボス部屋の前に登録しておいたため、発動するだけでボス部屋の前の空間に繋がる……という優れものだ。

「コリドー、オープン」

 使用したヒースクリフがまず始めに出現したワープゾーンへと入っていき、その後に《血盟騎士団》のギルドメンバーたちが即座にヒースクリフに続いて行く。

 暗黙の了解といった感じで二番手は《聖竜連合》、三番手は《アインクラッド解放軍》、それからは《風林火山》を始めとする小ギルドやパーティーが続いたので、自ずと俺が最後となった。

 俺は作戦会議でパーティーを組むのではなく、ソロプレイ、もしくはコンビプレイでボスと戦うことなっていた。
恐れはない、と言っては嘘になってしまうが、覚悟を決めてワープゾーンへと入っていった。


 回廊結晶で創りだしたワープゾーンを通ってからは、もう既に偵察で来たことがあるボス部屋の直前にある広間。
一度全員がそこに立ち止まったものの、ヒースクリフが歩きだしたのを合図のようにしてボス部屋の中に足を踏み入れる。

 どのようにしてかは解らないが、攻略組全員が入ったのを見計らったのようにボス部屋の扉が閉まっていき、覚悟はしていたがこれで脱出は不可能
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