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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十六話「過激なこの世界」
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うな二人――否、三人。


 エリスの背後から同じく軽甲冑を身に付けた女生徒が二人、慌てた様子でやってきた。


「だ、団長! 落ち着いてください! ここで剣を抜いちゃだめですよ!」


「むぅ……」


 しぶしぶといった感じで柄から手を離すエリス。こちらもお嬢様方を抑えるため、その脳天に軽いチョップを見舞った。


「君たちも落ち着け。こんな場所で乱闘騒ぎでも起こすつもりか?」


「うー……」


「……わかりましたわ」


 頭頂部を抑えて唸るお嬢様方を無視し、エリスたちに向けて頭を下げる。


「すまなかったな、うちのじゃじゃ馬たちが失礼した」


「じゃじゃ馬って言った!?」


「君は黙っていろ」


 がばっと顔を上げるクレアを視線で封殺する。


 エリスはバツが悪そうに視線を切った。


「い、いや、こちらこそすまない……。騎士団長ともあろう者が軽率なことをした」


「じゃあ、ここはお互い様ということで」


「うむ」


 この話はこれで終い。気を取り戻して、エリスの背後に立つ二人を見遣った。


 髪の短いボーイッシュな感じの娘と真面目な雰囲気を持つ、三つ編みの娘。二人とも見覚えがある顔だ。


「そこの二人は確か……ラッカにレイシア、だったかな?」


「わ、私たちの名前を憶えてたんですか?」


 三つ編みにしているレイシアが驚いた表情を浮かべた。


「当然だ。三度も顔を合わせ、一度は刃も交えた相手だ。記憶にない方がおかしい」


「あ、あの時は本当にごめんなさい」


 恐縮した様子で頭を下げるレイシアとラッカ。


 そんな二人に笑いながら手を振った。


「いやいや、謝らなくても大丈夫だ。こちらにも非があるし、なにより過ぎた話だ」


「そう言ってもらえると助かります……」


 ホット安堵の吐息を零すレイシアに微笑み返し、エリスに向き直った。


「それで? リンスレットの話ではないが、騎士団長ともなれば多忙だろう。なにか用でもあるんじゃないか?」


「う、うむ……流石だな、リシャルト・ファルファー」


 エリスはもじもじと身体をしきりに揺する。


 顔を赤らめて俯く団長の後ろからラッカの声が掛かった。


「ほら団長、言っちゃいなって!」


「あ、ああ。その、だな……」


「うん?」


「あの、えっと……」


 言葉にならない声を洩らしながら、あーでもないこーでもないと言を濁す。


 そんなエリスの後ろではレイシア達がひそひそと囁き合っていた。


「団長照れてる。こうい
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