第二十八話 浴衣その九
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「で、これからどうするん?」
「どうするかって?」
「っていいますと」
「まだ消灯に時間あるで」
見れば九時だ、六時から夕食で七時にそれが終わり八時までまた風呂に入ってだった、部屋の時計を見ればまだそれ位の時間だった。
「消灯十時やさかい」
「で、その一時間ですか」
「どうするかですね」
「またお風呂入る?」
こう五人に言うのだ。
「そうする?」
「そうですね、じゃあ」
五人のリーダー格の美優が五人を代表して応える。
「それじゃあ今から」
「やっぱり飲み過ぎたわ」
高見先輩は少し苦笑いになって述べた。
「晩御飯からまたお風呂行ったんやけど」
「あっ、先輩もだったんですか」
「わしもじゃ」
宇野先輩もそうだと言う。
「それでもお酒残ってて」
「ちょっとお酒抜いた方がええやろ」
それでだというのだ。
「汗もかいてるしまたお風呂に入ってな」
「すっきりしたいけえ」
「そうですね、その方がいいですね」
美優も酒のことを考えて先輩達に応える。
「まだお酒残ってますから」
「このままだと明日しんどいわよね」
「朝早いのに」
琴乃と里香も言う。
「じゃあもうちょっとお風呂入ってお酒抜いて」
「それで寝ましょう」
「合宿の時はいつもこの江田島走るんやで」
「ここ山多いし走りがいあるけえ」
「そやから今のうちに抜いてな」
「朝から頑張るけえ」
先輩達もこう言ってだった。
五人を連れて浴衣姿のまま部屋を出た、風呂場に行く途中の廊下やロビーにおいて。
生徒達、先生達もかなり転がっている。景子は彼等を見てこう言った。
「皆凄いわね」
「先生もいるしね」
彩夏も応える、彼等を見ながら。
「何か壮絶な光景ね」
「これが私達の合宿なのね」
「ああ、去年もこうやったから」
「普通けえ」
「夜は飲んで朝は一緒に走って泳いで」
「午後はそれぞれで部活するけえ」
そうした合宿だというのだ。
「後江田島の史跡研修あるで」
「兵学校行くけえ」
「その兵学校ですよね」
「海軍の」
「あそこめっちゃ綺麗やから」
「それに広いけえ」
その旧兵学校、現海上自衛隊幹部候補生学校の話にもなる。
「赤煉瓦で木が並んでて」
「ボートもあるけえ」
「ボートもですか」
琴乃がこう言うと里香が横から言ってきた。
「短艇っていってね。訓練で使うの」
「ボート漕ぐの?」
「海に出してね」
そうしてだというのだ。
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