暁 〜小説投稿サイト〜
IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐
序章 『交差』 ‐暴風の竜騎兵と紅の姫君‐
第2話 『紅の姫君』
[6/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
しか何かを感じられない――人の温かさも、可能性とか言われても私には理解できない、お兄さんが何言ってるのか、私には――わからない」
その時の彼女は――笑っていた。笑っていたが、目からは涙が零れていた。
感情が理解できない、わからない――それがどれだけ辛いことか、逆に俺はそれがわからない。
俺は無言で、スラッシュ状態の<フェイルノート>をコールすると
「手、出して」
「え?は、はい…」
差し出した彼女の手に、<フェイルノート>を握らせて、その手を――自分に向けた
「もし、君が殺すことでしか何も分からないというなら――ここで俺を殺せ。俺は抵抗もしないし、何もしない――それで君が満足するなら、俺を殺せ」
すると、彼女はなんとか起き上がった状態で、こちらを見ると
「お兄さんを、殺してもいいんですか?」
「それで、君が納得するなら――」
少し間をあけて、彼女は両手で<フェイルノート>を振りかぶると
「う、うわぁぁぁああ!!」
それは歓喜とも、悲痛とも呼べる叫び声にも聞こえた。
そして俺に対して――それを振り下ろした
「…殺さないのか?」
だが、その刃は俺を殺すことはなかった。
<フェイルノート>の刃は、後僅かで俺の首を切り裂くという所で止まっていたのだ。
「できま、せん――」
ポロポロと、涙を零しながら彼女は言った
「なんでかはわからないけど、けど――お兄さんを殺したいのに、殺したくなくて――よくわからなくなって、私は――」
カランカラン という音を立てて、彼女の手に持っていた<フェイルノート>が地面に落ち、量子化される。
俺個人としても複雑な気分であった―― 一歩間違えば、俺もこうなっていたのだから。
だから俺は、ISを解除し――灰銀色のネックレスを首にかけると、上体だけを起こしている彼女を抱きしめた
「お兄…さん――?」
「そうやって、泣いたり考えたり、後悔するからこそ『人は生きている』んだと俺は思う――君は、今ここで生きている。それで――いいじゃないか」
彼女にどんな悲惨な過去があったかは知らない。けれど――今ここで、何もかもが分からなくなって足掻いているのは、先程までの『殺人マシーン』ではなく――『一人の女の子』なんだと、そう思った。
彼女は『壊れている』のではない。壊れていたら、今の状況にはならなくて――あの刃は、俺を殺していたと思うから。
単純に不器用で、『自分がよく分からなくなっているだけ』なのだ、彼女は。
「えぐっ…ひぐっ…お兄さん、私は――」
「落ち着くまで、こうしてろ――俺みたいな奴でよければ、だけどさ――」
そ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ