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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐
序章 『交差』 ‐暴風の竜騎兵と紅の姫君‐
第2話 『紅の姫君』
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―痛みで顔をしかめて再び横になる
「ぁはは…私――お兄さんに負けちゃったんですね」
「――ああ、俺の勝ちで、君の負けだ」
先程の殺し合いの結果を伝えると、彼女は笑顔で
「ありがとうございます、お兄さん――お兄さんのおかげで、凄く楽しかったです。殺し合いをしてる瞬間も、お互いに刹那のミスが命取りになるあの瞬間も――凄く、楽しくて、満たされて――だからお兄さん、最後に負けた私を――」
――『殺してください』
その言葉が放たれた瞬間、プチンと俺の中で何かが切れた。
パァンッ!という音が周囲に響き渡る。次の瞬間に俺は右腕のISを部分解除し、思いっきり彼女に平手打ちをしていた
「――ッ…まあ私は敗者だから、お兄さんの好きなようにしてくれてもいいですよ――最終的に殺してさえくれれば、何だって受け入れます」
「いい加減に、しろよ」
「えっ…?」
そう、俺は完全にキレていた。
自分自身に対して、そして――彼女に対しても。
「何が『殺してください』だ、甘えるな! お前がそうやって――そうやって死にたがってんのは、辛い現実から逃げる為だろうが!お前と戦ってて良く分かったよ――お前は『辛い現実を死という事を理由に逃げようとしている』ただそれだけだッ!」
彼女は唖然としたままだったが、俺は言葉を続けた
「そうやって逃げ続けて、辛いことを見ないフリして――それで俺に負けて『殺してください』だ? ふざけんな寝言は寝て言え!」
すると、彼女も何かしら思うことがあったのか突然声を荒げて
「お兄さんに何が分かるって言うんですかッ! 私のことなんて何も知らないお兄さんに!パパも、ママも、友達も他人も――皆すぐに死んだ!残ったのは私だけで、自分で自分がわからなくて――『殺す』事でしか自分を表現できなくて、死にたくても死ねなかった私の辛さが!」
「――分かる訳、ないだろ」
「ッ――」
彼女に睨み付けられ、それでも俺は怯む事無く言い放った。
「そんなもん分かるか、知るか――それは君の事情だ。俺は知る余地もない――だけど、君はそうやってずっと『死』という物を追い続けて、そうする事で逃げてたんだろうがッ!家族が死んだ?友人が死んだ?皆死んだ?あぁ、それは辛かったな――だけどそれで逃げるなよ、そうやって否定し続けて死を求めて――その先に何があるんだよ!」
そうだ、彼女はIFの自分だ。もし俺が――両親を失ったあの時、あの時期に下手をすれば彼女のようになっていただろう。だが――俺はそうならなかった。
彼女と俺の最大の差は、環境だ――自分は『ルヴェル・エディ』という人物や、士官学校での人間、周囲の人間に恵まれていた。彼女は――どうだろうか。
「分からない、んですよ――私は『殺す』という事で
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