暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 奇妙な壁戦士の物語
第一話 正式サービス開始宣言
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ナーヴギアによって死刑を受けるのみ。

 何度も何度も失敗と死亡を繰り返し、敵のパターンを読みながらそれを倒し、自分も成長する。それが、RPGというものだ。

 初見殺しとよく聞くが、恐らくそういった初めてこのSAOをプレイする者を対象とした悪質なトラップも、ダンジョンの中ではたくさんあるのだろう。それに嵌れば、恐らくだが確実に死ぬ。

 情報を手に入れるのも命懸け。レベルを上げるのも命懸け。ボスを倒すのも命懸け。ダンジョンを探索するのですら命懸け。

 挙げていけば切りがないほど、何から何までが、命懸けである。

そんなものを、果たしてゲームと呼んでいいのだろうか?

 糸目の少年は視界の左上にある細い青く輝く横線を見る。その上に332/332という数字がオーバレイ表示されている。

 その数値が、ヒットポイント。すなわち、命の残量。

 架空空間、現実関係なく、その事実は変わらない。

 それがゼロになった瞬間に――アバターは消滅し、そのアバターの本人さえもが死ぬ――マイクロウェーブに脳を焼かれて即死する。

 そのような状況で、誰も危険なフィールドに出て行く奴が何処に居るというのだ。プレイヤー全員が、安全な街区圏内に引き籠り続けるに決まっている。

 それはきっと、誰しもが考えた事だろう。しかし、それを否定するかの如く、茅場明彦の次の託宣が降り注いだ。

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第100層まで辿り着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

 しん、とプレイヤーたちが沈黙した。

 これはある意味、心理戦なのかもしれない。

 考えの足りない奴はこう考えるだろう。自分だけ引きこもっていても、他の奴が必ずクリアしてくれる、と。

 ゲームを止める事が出来ない以上、生き残る為にはがむしゃらに進んでただクリアを目指すか、始まりの町で大人しくクリアを待つか――それとも、最初のエリアでレベルを十分に上げた後、次の場所へと移り、地道にやっていくか。

 生き残る手段としては、大きく分けてこの3つだろう。

 また、このゲームにも恐らく鍛冶師などの後方支援系の物品を取り扱う能力はある筈だ。そういったもので他のプレイヤーを支え、攻略の手助けをするという方法もある。

 しかし、必ずしも誰かがフィールドやダンジョンの探索と攻略を、レベルを上げてボス戦をしなければならない。

 RPGの本質から言えば、これをよく分類してみんなで協力できたとしても――これから死者を出さないという事は不可能である。必ず未知の何かに出会い、命を落とす。100
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