第一話 正式サービス開始宣言
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発ディレクターであると同時に、ナーヴギアそのものの基礎設計者でもあるのだ。
このSAOをプレイしている者の中で、むしろ知らないプレイヤーの方が珍しいくらいの、有名人物なのだ。その人物が直々にこのゲームに出てきたということに、プレイヤーは皆疑問に思っており、だからこそ驚いたのだろう。
『プレイヤーの諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』
「へぇ・・・・・・本気やったんか。やるとは思うてたけど」
誰にも聞こえない様にボソッと呟く少年の声。その最後の確信めいた言葉に被さるように、滑らかな低温のアナウンスは続いた。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
この城と言われて、少年はすぐに自分たちが攻略しなければならない城、正式名称《浮遊城アインクラッド》のことだと理解する。
『・・・・・・また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合――』
わずかな間。
広場に居る全員が息を詰めた、途方もなく重苦しい静寂の中、その重大発言はゆっくりと発せられた。
『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
その瞬間、あたりの空気が少しだけ軽くなった気がしたが、それはほんの一時の幻想だ。
人々はその言葉の意味を理解するのに時間を要しているのか、あるいは理解するのを拒んでいるのか、誰しもが呆けた顔で茅場明彦を名乗る真紅のフードを、パーティーメンバーの顔を見詰め、見合わせていた。
それはつまり、死刑宣告だ。このゲームをクリアする前にやめたら、死んでもらうという、一種の死刑宣告なのだ。
日本は平和だ。外国人プレイヤーも居るかもしれないが、それでも暮らしは恐らく日本の筈だ。安全な日本で、日々危険と向き合ったことのない人間が、いきなりその言葉を鵜呑みにしろと言われても、それはとてつもなく難しいことだった。また、理論的にそんなことが出来るのかと、疑問を抱いている者も居る筈だ。そう考えれば、それを納得させるのは実証が無い限り不可能に近い。
『より具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人などが警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少な
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