第一話 正式サービス開始宣言
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ゲームであって遊びではない、と彼を含める全プレイヤーは近いうちに知る事になる。
彼の反応を楽しみに、男は近くに置いてあったナーヴギアを手に取るのだった――
「はぁ・・・・・・プレイヤーがごった返して、やることないやんか」
溜息を吐きながら、先ほど白衣の男と話していた糸目の少年が草原フィールドをざっと見渡すが、360度どの方向に向いても人の姿が少なくとも数人は見える。どうやら開始早々、狩場の選択を間違えてしまったらしい。
(てか、このアバター何やねん。現実世界の僕より身体能力低いって、冗談にしてもきついで)
と、心の中で愚痴を呟く。彼が何を言いたいのかといえば、単純に現実の体と仮想空間での体の動きの誤差――いや、ズレが半端なものではなかったのだ。
それ故に少年は今、フィールドに出て体を慣れさせようとしたのだが――生憎、フィールドは他プレイヤーによりほぼ満員状態。練習で動くのには問題なさそうだが、モンスターとの戦闘は不可能な状態だった。
(はぁ・・・・・・この様子だと、みんな知らんみたいやな。ログアウト出来ん事や、HP0になったら仮想空間及び現実世界から永久退場することを)
呆れながらボーッと辺りを見て、既に2時間近くが経過している。重量を再現されている武具で装備しているものは、防具は最初に支給されるありふれた革の鎧と靴のみで、武器は背中に差しているレイピアの一本のみ。予備の武器などは一切存在しない。また、コル(この世界でのお金)も全然持っていない為、手持ちの回復すら最初に支給されたものだけである。
この重量の再現された武具を着用、帯刀してよく、今の今まで寝転ばずに辺りを見回すことが出来たものだと我ながら感心すると同時に、よくこんな危うい状況でフィールドに出てきたなと自嘲する。何せ、この世界での死は現実の死と変わらないのだ。回復アイテムを十全に持っていくのは、この世界の内情を知って居る者にとっては当然の事といえる。
はぁ〜、と今日何度目か分からない溜息が出かけた瞬間、突然音が鳴り響いた。
音といっても、そこまで変なものでは無い。ただ単に時間を知らせているのであろう、始まりの町(プレイヤーが最初に転送される場所)にある鐘がゴォーン、ゴォーン、ゴォーン、と立て続けに鳴っているだけだ。
しかし、異変はその鐘が鳴り続けている途中で起きた。
「な、何だ!?」
近くに居た一人のプレイヤーが、パーティーメンバーを見て悲鳴じみた声を上げている。見てみると、そこには青白い光に包まれたプレイヤー達がいた。それは数瞬の内に草原フィールドに居た全プレイヤーを対象に包み込む。それは例外なく、糸目の少年も含まれている。
そして次に視界に映ったものは、
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