第一話 正式サービス開始宣言
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勘違いしないでほしい。君には私とは別に、《ソードアート・オンライン》を観察してほしいのだ。勿論、私は頼む側の人間だ。君の肉体の管理は私が責任を持ってしよう。また、そちらに要望があれば極力こちらで叶えよう。――ただし、要望はゲームに入る前に申告してもらわなければ叶えられない」
男の言葉に、少年はしばし考える。三分、四分、五分と十全に考えた上で一度頷き、その口を開く。
「じゃあ、身体能力の全引継ぎをお願いしてもええかな?」
「・・・・・・いいだろう。君のアバターの動きは元の身体能力、システムアシストの二つによって変わるようにセットしよう。無論、君のデータは既に採取済みだ。今から始めても十分に、その処理は間に合う」
仮想空間にも自身の身体能力を持って行けるなど、恐らくこの男にしか不可能な芸当だろう。システムアシストとは別にかつ、システムアシストを阻害しない様に身体能力を現実と同じにするのだから、これには相当な技術力を要する筈だ。
「流石は天才。僕なら今のは即却下しとるよ」
「寧ろ、私ならもっと無理難題を願い出るがね」
冗談めかして言う少年と、本気の声音で言う男。今のこの男の言葉には「要望はこれだけか?」という意味合いが含まれていたが、少年にはそれで十分だったので言葉を返すことなく近くの寝台に寝てナーヴギアをセットする。
「言っておくが、君にも他全プレイヤーと同じペナルティは背負ってもらう。それでも行くのか?」
至って真剣な声で、男は少年に問うた。少年は口元に微笑を浮かべて、
「もちろんや。現実より、こっちの方が面白いに決まっとるやんか」
と、爽やかなほど澄んだ声で言い放った。
「・・・・・・・・・・・・そうか。では、《リンク・スタート》と口にしたまえ。君のアバターは私が調整して今しがた完成したところだ。身体能力の方は、正式にゲームがスタートするまで少し待ってほしい。問題ないか?」
「イエス。それじゃ、始めるとしますわ」
少年は男に一度手を振り、そして《リンク・スタート》と口にする。これが彼の、ゲーム参加への成り行き。そして目的。
「――行ったか」
男は再び席に着き、作業を続行する。これから行われる、ゲームの為に。そして少年のアバターの完成の為に。
「・・・・・・そろそろ時間か」
数時間経った後、男は本当の意味でのゲーム開始の為に《ソードアート・オンライン》にアクセスして今も尚生き残っているプレイヤー全てを、一か所に強制転移させる。
「――よし。これで良い」
1名を除く全プレイヤーに同じアイテムを配布すると、男は一息吐き、満足げに口元を緩める。これであとは、生きるも死ぬも、彼の実力次第。
この《ソードアート・オンライン》が
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