第一話 正式サービス開始宣言
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「で、何で僕を呼び出したんかな?」
暗い部屋。そこには白衣を着て席に座っている何者かと、糸のように細い目をした、目を開けているのかどうか分からない中学生くらいの少年が居た。
その部屋の中で光といえば、機械やコンピューターから発せられるものしかなく、目の前の何物かの姿や顔の輪郭が見えても、光の当たる場所によりその顔を誰かとまで認識することは出来ない。
「君には少し頼みたいことがあってね。今日はそれで呼び出させてもらった」
少し低く、落ち着いた男性の声。少年にスキンヘッドのカツラに似たヘッドギアのようなものを手渡し、男はその説明に入る。
「君も知っての通り、それは私が基礎設計を行って作られたナーヴギア≠ニいうもので、今そこには《ソードアート・オンライン》というゲームがセットされている」
「僕にテスターになれ、と?」
少年が何やら確信を持ったように訊くが、男は首を横に振った。
「そうではない。君には私とは別に、このゲームの監視役をしてもらいたい。無論、そちらの要望は出来るだけ叶えよう――が、まずは注意事項を説明するとしよう」
男は席から立ち、近くに会った映写機を触りスクリーンに向けてある映像を投影する。
「これが、《ソードアート・オンライン》の攻略の際に上らなければならない、浮遊城アインクラッドだ。全100層まであり、クリア条件はその最上階である100層までクリアすることだ」
その映像には、フィクションでしか見たことが無い様な浮遊する城――というより、円錐状の大陸のようなものが映っていた。
少年は男の説明を聞いて合点がいかないのか、怪訝そうな顔をする。
「それのどこが注意点なん?」
「まぁ、最後まで聞きたまえ。――これは、ゲームであっても遊びではない」
そう言われ、ますます少年は怪訝そうに首を傾ける。元よりその糸目のせいで表情とその真意を読みにくいのだが、こと現在に至ってはとても分かり易くその胸の内を行動に表していた。
「まだ分からない、という顔をしているな。――結論から言えば、この《ソードアート・オンライン》によるHP0は、現実の死へと繋がるのだ。通常のMMORPGのようにHPが0になっても復活地点で復活などしない。また、復活アイテムは簡単には手に入らない。――いや、もはやそれ専用のアイテムが無ければ、復活が出来ないといっても過言ではない。またこのゲームには、ログアウト機能が初めから存在しない」
男のその言葉を放ってから、部屋の空気が一変する。先ほどまで世間話程度に穏やかだった会話空間は、今や裏取引での交渉の如く緊迫した空間と化している。それは単に、少年が警戒心をあらわにしたせいだった。
「――僕に死にに行けとでもいうんか?」
「
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