第十四話 すれ違い
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「うん完璧。さすがリズ」
私は手に持つレイピアを見てそう呟く。
なかなか難しい素材で私の武器を強化してもらったのだが、そこはリズが腕を見せてくれて、完璧な仕上がりで渡してくれた。
「これで攻略も少しは楽になるかな」
レイピアを腰にある鞘に戻しながら私は居住区に戻ろうとしていた。
だけど、ふと思った。
「すこし試しておこうかな?」
腰のレイピアを見て、私は呟いた。
友人のリズの鍛えてくれた武器。
それがどれだけの物か、不意に私は試したくなってしまった。
「まだ、日没まで時間はあるし……少しくらいなら…」
私はそう言うと、転移門へと歩いていた道を引き返し、フィールドへと続く道に歩き始めた。
だけど、急に誰かに肩を掴まれた。
その足がふいに止まる。
後ろを振り向くと、アーチャーが私の肩を掴んで、フィールドに向かう私を止めていた。
その表情はいつになく厳しい顔をしている。
「なに、アーチャー。そんな顔するなんて…。一体どうしたのよ」
「……マスター、今日はもう戻った方が良い。新しい武器を試すのは明日でも遅くはない」
アーチャーはそう言い、私の顔をじっと見つめていた。
「なによ、私がこのエリアの敵に後れを取るとでも思ってるの?」
私は、急に止められたことと、自分を過小評価されているようで、その時少し頭に来てしまった。
「私はこれでも血盟騎士団の副団長を任されてる身よ。こんな所で負けるわけないわ。それとも何、私一人じゃ何も出来ないとでも言うの?」
思わず語尾がきつくなる。
「…別に君の実力を疑っているわけではない。ただ、あまり闇雲に動くべきではないと言っている。近頃の君は、かなり無茶な戦い方をしている。新しい武器が手に入った機会に、少し戦い方を見直すべきではないのか?」
私はアーチャーのその言葉に、一気に頭に血が上った。
まるで、今まで自分がしてきた事を全部否定されたみたいで声を荒げずにはいられなかった。
「余計なお世話よ!確かに私は何度も貴方に助けられてきたわ。でも私は貴方が来るまでずっと一人で戦ってきたの!今更心配される義理はないわ!」
私は目の前に立っているアーチャーに、怒声を浴びせた。
アーチャーが私を心配している事は分かる。
だけど、それ以上に自分自身を否定された事に我慢が出来なかった。
私が激しい声を浴びせたのにも関わらずアーチャーは表情を変えない。
アーチャーは眉一つ動かさずに私の顔を見つめたままだ。
その表情が私の怒りをさらに掻き立てる。
表情がどんどん強張って行くのが分かる。
「もういいわ。貴方は着いて来ないで。私一人で行くから」
私はそう言うと、踵を返しアーチャーに背を向け
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