第十四話 すれ違い
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、準備を始めた。
「いつもありがとね、リズ」
私はそんな彼女を見て、思わずそんな言葉が出てしまった。
リズは少しびっくりしたような感じで私を見ると、すぐに笑顔になり、
「良いって良いって、アスナは私の大事なお客様なんだから」
そう笑いかけてくれた。
彼女の笑顔を見ると、自然に私の頬も緩んでしまう。
私たち二人は互いに笑いあった。
「じゃあそこら辺に掛けてて」
彼女はそう言うと、私のレイピアを金床に乗せ、作業を開始した。
私のレイピアと持ってきたアイテム。
彼女はその二つを交互にハンマーで叩きながら加工していく。
私はその姿をボーっと見つめながらふとある事が気になった。
「リズ、ちょっとごめん。外に出てても良いかな?」
「んー?別に良いよ。まだ少し掛かるから」
作業を続けながら答えたリズの返事を聞くと、私は店の外へと出る。
外に出て、周りを見渡し、私が気にしていた原因を呼ぶ。
「なんで姿を消したままなの?」
そう問いかけると光の粒子が集まり、私のサーヴァント、アーチャーはドアのすぐ隣の壁に寄り掛かっていた。
私の問いかけに、アーチャーは目を閉じながらおもむろに口を開く。
「敵に見つかる危険性があるからだ。あまり無暗やたらに姿を現していては、いつ奇襲をかけられるか分からないからな」
「奇襲って、そんな大袈裟な」
「いや、どこから敵が見ているか分からん。用心しておいて損はない」
「此処は圏内だし、戦闘も行う事はできないわよ」
そう、此処はデュエルを除く、戦闘が行われない<アンチクリミナルコード有効圏内〉なのだ。
だが、アーチャーは顔をゆっくり上げ、私の顔を見つめる。
「此処が圏内だからといって安心は出来ない。もしかすれば抜け道があるかもしれんし、圏内で攻撃する事が出来るスキルを持ったサーヴァントもいるかもしれん」
アーチャーはそう言うと、再びうつ向き気味になり目を閉じる。
「そう言う事だ。私は必要な時だけ姿を見せよう。何かあればよびたまえ」
アーチャーはそう言うと、再び光の粒子を撒き散らし消えてしまった。
私は茫然としながら、アーチャーのいた場所をしばらく見つめる。
「いくらなんでも考え過ぎよ。まったく…」
私は少しむくれながらそう呟くと再び店の中に入った。
私はこの時、アーチャーは考え過ぎだろうと思っていた。
あり得ないだろうと。
わざわざ、他の人よりもすぐれたハンデを持っているのに、同じ立場の人に戦いを挑むなんて事はない。
私はそう思っていた。
「考え過ぎ……か…。そうだと良いんだがな」
私が店の扉を閉じると同時に、アーチャーのそんな呟きが聞こえた気がした。
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