目指せ魔法使いと死神娘
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諦められない。それは、ずっと私を支えてきた気概だ。
見えているのに手が届かいない物は、いつもある。
例えばそれは、月と星。
小さな頃屋根に登り、輝くそれが綺麗で手を伸ばした。
隣にいた香霖はそんな私に魔法でもないと届かないと笑い、頼んでもいないのに月や星との距離、その名の由来を解説し始めたのもだ。
そんなあいつに言ってやったのだ。
いつか、必ず掴んで見せると。魔法を、使ってみせると。
どんなに努力しても、手に入らないものもある。
それは家柄だったり、才能だったり。
はたまた、魔力、だったり。
それが嫌で、足掻き続けてきた。
自分の実力を知った上でずっと動き続けてきた。
トライ&エラー。足を動かし頭を稼働し手で解き明かし。
研鑽し、練磨し、蓄積し、開拓し。
時にはひっくり返してゼロから始めた。
欲したものを最初から持っている奴がいた。
それを当たり前に使う者。
自分と同じに前へ進む者。
どうでもいいとサボる者。
そんな奴らに追いつくには、止まるわけには行かなかった。
ただ、前へ。ひたすらに前へ。
自分が持つ、最大の力を持って。
壁など見ずに、吹き飛ばすために。
だから、私は止まらない。
「おらああああああああああああああああああああああああ!!!!」
私――霧雨魔理沙は、馬鹿にしたようにこちらを笑う死神に向かい、水面の上を全速力で駆け抜けていた。
「ゲームをしよう」
暇潰しに来た三途の川の畔。船の中で寝ていた死神、小野塚小町を私は何となく箒で叩いて起こした。仕事中のはずなのに居眠りとはいい度胸である。上司に言いつけたら何か貰えないだろうか。
悲鳴を上げて起きた小町は私を睨んだ。全くいい根性である。
何か珍しい植物やキノコは無いか。或いはいい材料になりそうなものが欲しい。そう言った私に対し、小町が言った言葉がそれである。
「何でゲームしなくちゃならないのよ。暇じゃないんだが」
「あっはっは。昼寝してた私起こしてその言い草とか。今すぐ寿命迎えさせてあげようかい」
「やめとけやめとけ。お前が真面目に働くなんて、天変地異の前触れだ」
「相変わらずの性格だねぇ。……材料が欲しいんだろう? 魔法の研究にでも使う物の」
小町が立ち上がる。船が揺れ、水面に大きな波紋が出来る。その波紋は広がるに連れ次第に小さくなり、私が見ている先、河の半分ほどの所で消える。
揺れる船の上、小町はそれを一切に気になさず、まるで地の上にでもいるかのように堂々と立っている。普段から乗り慣れているからだろう。最も、昼寝床としてだろうが。
鎌を片手に持ち肩にトントンと。変に笑顔なそれが小町の怒りを表し
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