第三十七話〜言葉〜
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じたライは右手をティアナの頭に乗せて軽く撫でながら感謝の言葉を送る。
「ありがとう、そう言ってもらえるのなら僕も安心できた」
「あ――」
ティアナは自分を撫でるライの姿が亡くなった兄の姿と被って見えた。
それから少し時間が経ち、ティアナは隊舎に戻っていった。それと同時に茂みの方にあった気配も遠ざかり、その場に残ったのはライとなのはの2人だけであった。
事ここに至って、ライの心はとても落ち着いていた。機動六課のメンバーはある意味、ナナリーやルルーシュが求めていた他人に優しい世界を自然に目指している人が多いことにライは気付いていた。そんな人たちに会えたことだけでも、ライは自分がこの世界に来たことに感謝していた。
そのことを考えるライの頬は緩み、優しげな微笑を浮かべていた。その笑顔に隣にいたなのはは見蕩れていた。少しの間静かな時間が流れる。唐突にその静けさを破ったのはなのはであった。
「ねぇ、ライ君にお願いがあるんだけど」
「?」
「ティアナに指揮官の指導をしてもらえないかな?」
「え、でもそれは……」
「あ、別にティアナの教導を放棄するわけじゃないよ」
なのはの頼みごとにライの表情が困惑したものになる。その理由を予想したなのははすぐに誤解を解こうとする。だがライは元々そんな事を考えてはいなかった。なのはがティアナを見捨てるような人物でないことは十分理解していたのだから。
ライが困惑したのは自分の指示する戦略と今のティアナが目指す指揮官としての戦略が噛み合っていないと感じたからである。ライがとる戦略は敵をどれだけ効率よく無力化するかに特化している節がある。その方法には敵となった人物を殺害することも手段の一つとして当然のように含まれている。この考え方は六課ではもちろん、管理局でも容認できないものであるとライは思っている。
しかもティアナが今学ぶべき戦略や戦術は自分と仲間を守り、生き残らせるものであるとライは考えている。だからライはなのはの頼みに難色を示したのだ。
「なのは、僕の指揮は――」
自分の考えを伝えようとライは口を開くが、その前になのはが自分の考えを説明し始める。
「ライ君には相手の意表を突く考え方をティアナに身につけさせて欲しいの」
「……それは六課の解散後の事を考えて?」
「うん。ティアナの夢は執務官になることだから、そういう考え方も必要になると思って」
そう説明するなのはの目は真剣であった。だからライも真剣に考え答える。
「考え方を身につけさせる手伝いはするけど、戦い方は教えない。それでもいいかな?」
「うん!」
なのははそのライの返事に笑顔で答える。その笑顔になのはがライに見蕩れていたようにライもなのはの笑顔に少し
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