第二十九話 神社の巫女その五
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「私もね」
「そうじゃろうな。あの頃はわしも若かった」
大天狗は昔を思い出す顔で話す。
「まだまだ未熟者だった」
「天狗も出世するのじゃ」
博士が二人に話す。
「最初は烏天狗からはじまりじゃ」
「それで修行を積んで、ですか」
「大天狗になるんですね」
「何百年もかけてな」
「そういうのって狐さんや狸さんと一緒ですね」
「そうですね」
二人は博士の話を聞いて述べた。
「妖怪さん達も修行して強くなるんですね」
「その辺りも人間と同じですね」
「ただ寿命と姿形が違うだけじゃ」
それだけだというのだ。
「妖怪も修行が必要なのじゃよ」
「それでわしもじゃ」
大天狗もまた然りだというのだ、彼自身の言葉だ。
「あの頃はまだ若かった」
「若かったってどれ位ですか?」
「お幾つだったんですか?」
「百歳じゃった。若かった」
その頃だというのだ。
「まだな」
「それで牛若丸と修行してたんですか」
「蔵馬山で」
「うむ、子供の頃から強かった」
天狗はその牛若丸のことも話す。
「ついでに言えば平清盛入道殿は実はいい人だった」
「あっ、実際は温厚な人だったんですよね」
「しかも心優しい」
二人もこのことは知っていた、平家物語での描写とは違い平清盛という人は心優しい人物だったと言われている。
「いい人だったのだ」
「そうだったんですね、実は」
「平家物語は悪く書き過ぎている」
序文からしてそうだ、祇園精舎の鐘の声からはじまるあまりにも有名な序文にも書かれているが清盛は実際はそうではなかったのだ。
「義経公を主人公にsしているところがあるからな」
「ですよね、実は私的には」
聖花は眉を顰めさせて話した。
「頼朝がj嫌いで」
「確かに人気がないな」
「ですよね、あの人は」
「好かれる性格や立場ではなかった。源氏はまず身内で殺しあった」
このことは平家物語にもある、源氏はまずは身内で争いそのうえでお互いにその血筋を絶やしていったのである。
「その結果誰もいなくなった」
「本当にいなくなりましたね」
「身内同士で争えば当然のことだ」
天狗は達観している顔で述べる。
「滅びない筈がない」
「平家は保元の乱で争いましたけれど」
清盛も叔父と争っている、しかしだったのだ。
「それでもですね」
「平家は清盛公がそれを許さなかった」
身内同士での争いを戒めていたのだ。
「家中をよくまとめていた」
「そうですよね」
「その結果平家は最後まで身内で争うことはしなかった」
壇ノ浦で滅ぶまでだ、少なくとも源氏の様なことはなかった。
「いい家だったのだ」
「というか源氏って呪われてたんじゃ」
愛実は顔を顰めさせていた、そのうえでの言葉だ。
「戦国時代でもあれ
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