第二十九話 神社の巫女その二
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「それに相手が男の子だから面白いんじゃない、実際は」
「何か経験豊富そうなんですけれど」
「彼氏がいるせいですか」
「恋愛は人を成長させる最高のご馳走よ」
先輩はこう言い切った。
「色々と経験出来るのよ」
「ううん、そうなんですか」
「経験をですか」
「百人一首でも恋愛の歌が多いでしょ」
和歌自体がそうだ、季節を歌ったものも多いがそれと共に恋愛を歌ったものが多いのが和歌の特徴である。
「そうよね」
「ああ、ですよね」
「言われてみれば」
「二人共恋をしなさい」
先輩は強い声で二人に言った。
「いいわね」
「ううん、そう言われましても」
「相手が」
二人は先輩の言葉に難しい顔になって返した。。
「それに部活にお店にって」
「そういう方に忙しくて」
「そういったことで青春もいいけれど恋愛も大事よ」
先輩は二人に言う。
「というか必須よ」
「そうなんですか」
こうしたことには疎い傾向のある愛実は首を傾げさせた。
「私達にしても」
「林田さんも森本さんも実は男の子から人気があるのよ」
「えっ、そうだったんですか」
「私達人気があるんですか」
「あるわよ」
先輩はこう告げる。
「林田さんは可愛い、森本さんは綺麗ってことでね」
「そういえば聖花ちゃんって」
「愛実ちゃんは」
二人共自分のことには気付いていないがお互いのことは知っていてそれで顔を見合わせて言い合うのだった。
「結構男の子に見られてるし」
「紹介してくれって言われるのよね」
「そうだったの」
「私達って人気あったのね」
「そうよ、商業科で女の子が彼氏を作ることは難しいのよ」
女の子の方が多いからだ、逆に男子は相当性格に問題がない限りは彼女が出来る。流石にハーレムは無理だが。
「それで人気があるってね」
「凄いことですよね」
「それもかなり」
二人も商業科にいるからこのことはわかる。
「それじゃあですか」
「私達も」
「その中から一番いいと思った子に声をかけるの」
つまり自分から行けというのだ。
「わかったわね」
「自分からですか」
聖花は先輩の言葉に目を丸くさせた。
「あの、それは」
「出来ないの?」
「肉食系ですよね」
肉食系、草食系も次第に古くなってきている、言葉はすぐに流行りすぐに廃れる。
「それって」
「商業科はそうじゃないとすぐにあぶれるわよ」
「女の子が多いから」
「そうよ」
まさにその通りだった。
「ちょっと遅れを取ったらね」
「過酷な社会なのはわかってますけれど」
「それこそ蜂や蟻よ」
性別は逆だがそれでも同じだというのだ。
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