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トーゴの異世界無双
第百二十三話 二人を狙っているのは誰だ?
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(これは一度退いた方が……ん?)


 その時、メイムの背後からキラリと光るものが飛んできた。


 グサッ!


 刺さったのは…………メイムの肩だった。
 呻(うめ)き声を上げながら膝をつく。


「な、何……ナイフ……っ!?」


 自分の左肩を確認すると、小さなナイフが刺さっていた。
 そしてそれを苦痛を我慢しながら抜くと、さらに憎しみを込めた表情でヤーヴァスを睨む。


「背後から……このぉっ!」


 これはヤーヴァスの仕業だと思って、上がらない左腕はそのままにし、右手だけで剣を構える。
 すると、また彼女の背後から光るものが飛んでくる。


「避けろ!」
「は?」


 突然ヤーヴァスに言われ、眉間にしわを寄せ固まる。
 いつまでも動かないメイムにやきもきし、ヤーヴァスは自ら彼女に向かって行く。


「き、来なさいよ!」


 自分に向かって来るヤーヴァスに身構える。
 だが彼は何故か横を通り過ぎる。
 そして剣を振ったかと思うと、カランと地面に何かが落ちるような音が聞こえる。
 それは自分の肩に刺さっていたナイフと同じものだった。


(え? ど、どういうこと?)


 メイムは完全に混乱に陥ってしまっていた。
 先程は自分を攻撃したのに、次は防ぐ……?
 意味が分からないと首を振る。
 ヤーヴァスは今、背後でメイムを庇うような格好になっている。
 メイムはふと思う。


(い、今なら背中を刺せる……)


 どういうわけか、ヤーヴァスは自分以外の何かに意識を取られている。
 今なら背後から攻撃すれば、彼を簡単に殺すことができるかもしれない。
 剣を握る右手に自然と力が込められる。
 刺そうと思った瞬間、背後に何者かの気配を感じた。
 いや、気配というよりは、自然と体がそこに反応した。
 まるで恐怖が伝わってきたかのように背中に悪寒が走る。


 恐る恐る振り向くと、そこには…………………………何も無かった。
 いや、何も無いように見えた。だが本能が感づいている。
 そして拒絶している。
 これ以上意識を向けるのは危険だと。
 するといきなり黒くて長いものが伸びてきて腕に絡みつく。
 それは触手のようなものだが、実際は何か判明できない。
 生温い嫌な感覚がそこから伝わってくる。


「ちょ! 何よコレ!?」


 必死に掴まれた右腕を動かして解放を願うが、左腕は使い物にはならないので、どうしようもなかった。
 すると、また黒い触手が伸びてきて今度は両足に絡みつく。
 ゾクッと背筋が凍る感覚が走る。
 何だか分からないが、とても気味の悪い恐怖が支配する。


「い……嫌…
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