第百二十二話 メイム……何でだ……?
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、楽しみでもあるのだ。
時間が経てば、明日否応なく舞台に立つのだから、今から気にしていても仕方無い。
それよりも気になるのが、やはりガシューのことだ。
今日の不戦勝の件もあり、ヤーヴァスのことが心配になった。
もしかしたら、今回のようにヤーヴァスが何かされる恐れがある。
ミラニもそのことに気づいているのか、険しい表情で考え込んでいた。
闘悟は、この闘武場のどこかでほくそ笑んでいるガシューを思い苦々しい表情をする。
「それでは皆さん! 明日の準決勝楽しみにしていて下さい!」
モアの締めくくりの声が闘武場に響く。
「とりあえずクィル達のところへ戻るか」
ミラニと一緒にその場を後にした。
闘武場を出る時に、モアに舞台粉砕の件で怒られたのは言うまでもないことだった。
ホントに二度も破壊してごめんなさい。
これからまた舞台を直す人達に謝罪した。
試合が終わったその日の夜。
ヤーヴァスは酒場で食事をし、宿屋へと帰路の途中だった。
もう夜更けなので、周りには人気(ひとけ)が無い。
しばらく歩いていると、何か嫌な予感が走った。
ピリッとした感覚。
これは確かに経験のある感覚だった。
自分を意識して視線を送られている感じだが、その上、その視線にはただならない感情が込められている。
こういった視線は、よく魔物や、盗賊などとの戦いで感じることが多い。
だが今、見えるところには誰の姿も見えない。
どこにいるかは、その視線を辿ると大体把握できる。
だが彼は立ち止まり、目を閉じながら言葉を放つ。
「出てこい」
その一言を受け、何者かが足音を立てて現れる。
目を開けると、そこには一人の人物が立っていた。
ちょうど左前に立っている木の後ろに隠れていたらしい。
「間違いない……やっと見つけた」
そう小声で言って月影にさらされながら姿を露(あら)わにした。
ヤーヴァスは目の前の人物を見据えて問う。
「何者だ?」
すると相手はギリッと聞こえるような歯噛(はが)みをして答える。
「私はメイム・ウォーレス。アンタが滅ぼした村の生き残りよ」
ヤーヴァスを睨みつけながらそう呟いたのは、間違いなく闘悟と同じくヴェルーナ魔法学園に通う、あのメイムだった。
「滅ぼした?」
表情を変えずに、ヤーヴァスは聞き返す。
「惚(とぼ)けても無駄よ。その魔剣が動かない証拠よ!」
メイムはヤーヴァスが腰に携えている『魔剣ドール』を指差す。
「何のことだ?」
微かに首を傾げながら問う。
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