第百二十一話 そんな目で見てねえっ!
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だ」
「そ、そうなのか?」
「だから治してもらってくれ。その方がクィルも喜ぶ」
そう、以前クィルの不安を消す方法として、傷の手当てを約束したのだ。
ミラニは闘悟の言葉を受けて軽く頷きを返す。
「そういうことなら、あとで看てもらうことにしよう」
「ああ、そうしてやってくれ」
そしてミラニは何かを思い出して、大きく溜め息を吐いた。
「しかし、それにしてもあんなトドメはないだろう?」
「ん? 何が?」
「最後のアレだ。まさか私と同じ技をするとはな」
「へへ、まあな。お前のは『斬(ざん)・一閃(いっせん)』だろ? オレのは『突(とつ)・一閃』ってとこか?」
お茶(ちゃ)らけた感じで言うが、ミラニは呆れ顔で物を言う。
「そうではない。どうして最後にあの技を?」
「だってさ、何かカッコ良かったからな」
「……え?」
虚(きょ)を突かれたようにハッとなる。
「最初に見た時、ビビッときたって! オレもあんな技をやってみてえってな!」
「そ、そうか?」
「ああ、だから悪いと思ったけど力任せにやっちまった。悪いなミラニ」
「い、いや、それなら別に構わないが……そうか……カッコ良かったか……」
何故か頬を軽く染めているが、、闘悟は他の所を向いていたので気づかなかった。
「でもよ、アレはダメだな。さっきも言ったけど、力任せにやっただけだし。オレも何か考えねえとなぁ」
ミラニに比べれば、技の繋がりやタイミングなど、計算して行動した技ではない。
ただ魔力に物を言わせて無理やりに物真似をしてみせただけだ。
闘悟自身、やはり自分だけの技というものを創造してみたかった。
もちろんカッコ良いやつをだ。
「む、そう言えば『天動(てんどう)縮地』ができるのならどうして最初から使わなかったのだ?」
この疑問は当然だ。
フレンシアもミラニと同じような疑問を持っていた。
「あ、いや……実はな、ホントのこと言うと、できるとは思ってなかったんだ」
「どういうことだ?」
「まあ、ぶっつけ本番というか、さっきも言った通り、カッコいいなと思ったから試しただけなんだよな」
闘悟の告白を聞いて唖然とする。
「…………はぁ、相変わらず奇想天外な奴だ」
「う……」
「まさか私が苦労して編み出した技を、試したらできたと言うとは……」
「ま、まあ悪かったよ」
「ふむ、だが、それは私の技が気に入っているという証拠でもあるか……ふむ」
何故か嬉しそうに笑みを浮かべる彼女を見て、闘悟は首を傾げる。
まあ、怒ってもいなさそうだし別にいいの……かな?
闘悟はホッとしながら胸を撫で下ろす。
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