第百二十一話 そんな目で見てねえっ!
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「……あっ!?」
耳を澄ますと、モアがフレンシアに、ミラニと同じ疑問を尋ねていた。
フレンシアは魔力視認ができるので、大よそはあの時闘悟が何をしたのか気づいているだろう。
だからこそ、正直に解説されると、大々的なデビューが邪魔されてしまう。
闘悟は焦ってフレンシアの方を見ると、彼女も闘悟を見ていた。
どうやら彼女も、言ってもいいものかと判断に困っていたようだ。
さっそく口元にバツ印を作り、解説しないでといったジェスチャーをする。
彼女もその意図に気づいたようでニッコリと笑う。
(あとで個人面談し・て・ね!)
フレンシアは目で語るが、闘悟はそれを一早く理解して寒気が全身を襲う。
……ああ、余計な仕事が増えちまった……。
ミラニもそんな彼の様子に気づき苦笑する。
能力暴露の危険が去り、一安心した闘悟は、ミラニの体を見る。
ジッと見ていたせいか、ミラニは顔を赤くして体を両手で隠すような仕草をする。
「な、ななな何をそんないかがわしい目で見つめている!」
「い、いやいや! そんな目で見てねえし!」
「い、今見ていただろうが! わ、私の、そ、その……む、む、胸や足を……」
「い、いや……確かに見てたけどさ……」
「こ、この変態視姦魔が!」
「それ言い過ぎだかんな!」
何てこと言いやがる!
生まれてこの方、女を視姦なんかしたことねえよ!
いや、だからってもちろん男もねえかんな!
「な、なら何でそんな舐め回すような目で見ていたのだ!」
「だからそういう言い方やめてくんない!」
闘悟はこんなやり方に不毛を感じて、溜め息を吐く。
そして、彼女の顔を見つめて言う。
「ミラニは体の傷、大丈夫か?」
「へ? あ……ん? ああ、傷か……そうか、傷のことか」
「お前……マジでオレがこの場でそんなことしてると思ったのかよ……」
「え?……えっとな…………おほん! ま、まあ、いいではないか! 気にするな!」
ジト目で睨むが、彼女はそっぽを向いて軽く流す。
「……ま、いっか。それで? 傷は?」
「傷か? ああ、大丈夫だ」
確かに見た目で目立つ傷は負っていなかった。
吹き飛ばされたとはいえ、さすがは魔法騎士団団長、受け身はバッチリとっていたらしい。
くたくたなのは、魔力も体力も使い果たしたからだ。
「あ、でもさ、一応クィルに傷、治してもらえよ?」
「ん? いや、だからそれほどの傷では……」
彼女が否定しようと首を振ったので、闘悟はその言葉を打ち消すように言葉を放つ。
「クィルとの約束なんだよ」
「……約束だと?」
「ああ、この試合での傷を治してもらう約束
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