第百二十一話 そんな目で見てねえっ!
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来たら話そうと思う。
そこでふとミラニが首を傾げた。
その様子に気づいた闘悟は彼女に「どうした?」と尋ねると、彼女は闘悟の左腕を指差す。
「確か……左腕……折れていたよな?」
「ん? ああ、折れてたぞ」
ミラニの『終わらない嵐(テンペスト)』で、左腕は確かに骨折していた。
「…………貴様、私の剣を両手で挟まなかったか?」
「ああ、挟んだぞ」
「…………いや、おかしいだろ!」
「へ?」
闘悟があまりにも普通に言葉を返すので、つい怒鳴ってしまう。
「折れた腕で、あんなことができるわけがないだろ!」
あんなことと言うのは、真剣白刃摂りのことだ。
ミラニの言う通り、普通なら、折れた腕を自在に動かし、自分の全力を込めた剣を、同じように力を込めて挟むことなどできるわけがない。
「ん〜あ、そっか! ミラニはまだオレの第三の能力のこと話してなかったっけか?」
「だ、第三の能力?」
闘悟は自身の魔法や能力を、大まかに幾つか分けている。
第一の能力は『身体能力強化』。
だが、これは魔力を持つ者なら誰にでも可能である。
これは補助魔法に属するもので、れっきとした魔法である。
第二の能力は『改変魔法』。
これはもう説明はいらないと思うが、闘悟の魔力で覆ったものを改変できる魔法だ。
そして第三の能力なのだが、実際に目で見て、どんな能力なのか認知しているのはクィルだけである。
一応ステリアも見てはいるのだが、彼女本人は詳しいことは知らない。
「……教えてほしい?」
「……嫌な聞き方をするな」
闘悟がニヤニヤしながら試すような表情で聞いたので、ミラニはそんな態度にムッとしてしまう。
「実はさ、今回オレがやったのはその能力のほんの一部なんだけど……」
闘悟はミラニに一通り説明をする。
実はこの能力を大々的にデビューさせるのは、まだ先だと考えているので、ミラニだけに聞こえるように話す。
何とも形容しがたい表情をしながら、闘悟の説明を聞いていたミラニは、話が終わると、大きな溜め息を吐く。
「…………どこまで行くのだ貴様は……」
「はは、やっぱしそう思う?」
「……まあ、今更驚きはしないが、貴様にその能力を出させるほど苦戦させられたと思い、一応納得はしておこう」
「お前が分かる奴で良かったよ」
闘悟がニッと笑いながら、ポケットに手を入れる。
それに彼女の言う通り、確かに咄嗟のこととはいえ、思わず能力を使用してしまったのも事実なのだ。
それだけミラニの成長ぶりは驚嘆に値するほどだった。
「だがいいのか? 疑問を感じたのは私だけではないぞ?」
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