第百二十一話 そんな目で見てねえっ!
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「きっまりましたぁっ!!! ミラニ選手の敗北宣言により、この勝負はトーゴ選手の勝利で〜す!!!」
その瞬間、雨のように歓声が降り注ぐ。
そして、フレンシアは大きく息を吐く。
「ふぅ……はぁ……こんなにも高度な闘いを見られるとは思いませんでした」
若干興奮を抑えられていないのか、彼女は目を潤ませ全身に熱を込めている。
それだけ激しく魅入られた試合だったということだ。
いや、そう感じているのはフレンシアだけではない。
その試合を観戦した誰もが共通して感じていることだった。
「いや〜本当に素晴らしかったですねフレンシア様!」
「ええ、これは後世(こうせい)にも語り継がれていく名試合になるでしょうね」
「そうですとも! これだけの試合なんです! というかトーゴ選手の全試合が語り継がれるに違いありません!」
観客達も同意しているのだろう、何度も頷く人達があちらこちらに見える。
「それにしてもフレンシア様」
「何でしょう?」
「準決勝者四名が決まりましたが、本命は誰ですか?」
モアはそう聞くが、その言葉を聞いた誰もが一様(いちよう)にして思った。
そんなこと聞くまでも無いだろう……と。
「もっちろんトーゴくんよぉ〜!」
両手を組みながら、物凄くにこやかな笑顔をする。
そしてどこからともなく聞こえてくる。
ほらな……と。
「あいてて……」
トーゴは顔をしかめて肩を擦っている。
よく見ると、服は破られ、無数の傷が見える。
あのミラニの魔法をまともに受けたのだから仕方が無い。
これだけで済んでいるだけでも不思議でならないほどだ。
「その……大丈夫か?」
ミラニはさすがに不安になったのか、声を掛けてくる。
試合だったとはいえ、終われば仲間だ。
明日の試合のこともあるし気になるのも当然だ。
「ああ、大丈夫だ」
そう言うと、徐々に怪我が治っていく。
それを見てさすがのミラニもギョッとなる。
「き、傷が……っ!?」
そして、しばらくしたら完全に傷は塞がったようだ。
体の痛みも消えた。
闘悟はついでに破れている服装に改変魔法を使って元通りにした。
「そ、そうか、改変魔法か。な、なるほどな……便利なものだ」
改変魔法で治したのは服装だけだ。
傷は時間が経てば自動的に治癒する。
それは闘悟が不老不死になった恩恵なのだ。
だがそのことを知らないミラニは、当然治癒も改変魔法だと考えた。
この力のこともいずれ話そうと思うが、今は黙っておく。
どうせならクィルにも話したいし、その時が
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