第二話「入学 ~begin~」
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ニックムーブでも起こせるんじゃないか、と思える程の大音量に千夏は思わず耳を塞ぐ。
「生の千冬さんよ!」
「わざわざ佐渡から来たかいがあったわ!」
「父さん母さん、産んでくれてありがとう!」
「私も未来から来たかいがあったわ!」
「千冬さんhshs!!」
「ヤバい、濡れてきた」
中には発言を疑うものがあったが。
というかレズとか本当にいるんだなぁ、と知りたくもないことも知ってしまった千夏であった。
当然、千冬は呆れるがそれに便乗して余計にMな子が目立つ事態となった。
「……はぁ。少しは静かにしろ!遅れて来た者が間もなく来る」
それを聞いた瞬間に生徒達は黙る。
(そう言えば後から来ると山田先生が言っていたね。初日から遅刻とは良い度胸じゃないか。ある意味その神経の図太さに敬意を表するね)
千夏がもう一人の『男性操縦者』を馬鹿にしていると、教室のドアがコンコンと叩かれた。
「すみません。遅れて来た者です」
「よし。入れ」
ドアに向かって千冬はそう言うと、そのドアが開いて男と女性が入ってくる。
その男に、千夏は目を見開くほど驚いた。なぜなら、その男は自分が見下し、二年前に殺した・・・筈の兄、織斑一夏にそっくりだったからだ。
「初めまして皆さん。実習生のエレン・M・メイザースです。趣味はカメラいじりと、写真撮影です。苦手なものは、落とし穴と姦しい三人娘です」
一夏を見たショックで、一緒に入って来たエレンの自己紹介は、千夏の耳には入らなかった。
「初めまして、一夏・ウェストコットです。IS適性検査に見事に引っかかったのでこのIS学園に入学することになりました。宇宙人、未来人、超能力者がいたら、俺のとこに来い。以上です」
この時、二人の織斑は叫びたかった。
一方は、違う!お前は私の大切な弟の織斑一夏だ、と。
一方は、ふざけるな!出来損ないのくせに手間をかけさせるな、と。
ちなみに、張り切ってネタを入れたが、クラスの皆はスルーして容姿をもてはやしたため、一夏は器用にイスの上で体操座りをして拗ねてしまっていた。
《精霊王》が降り立ち、歯車は軋む。彼に付き従うのは《精霊》。
彼等が世界にもたらすのは、はてさて如何なる歪みであろうか。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ