第二話「入学 ~begin~」
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だ。
「みなさん、揃ってますねー。それじゃあSHRをはじめますよー」
「先生、一人いません」
と、教室の後方にある窓際の空席を指して誰かが言ったが、教師は「彼なら後で来ますよ」と答えた。
そういえば、と自分以外に男がISを動かした人間がいたことを思い出し、一体誰だろうかと思いをはせる。
(まぁ、誰だろうと僕に勝てるわけないけど。なんたって、僕はあの束さんからISのことを教えてもらったし、動かし方もほとんど習得している。僕を倒せるのは姉さんぐらいだろうな)
その考えが間違っているとは気付かず、千夏は心の中で笑みを浮かべる。
「あ、私は副担任の山田真耶です。一年間よろしくお願いしますね」
千夏が反射的に返事をすると、周りからチラホラと返事が返される。
「それじゃあ、出席番号順に自己紹介をお願いしますね」
そして始まる自己紹介。席順はどういう基準か知らないが、千夏を真ん中の最前列にしたのは問題児だからだろうか。幼少の頃から神童などと、ちやほやされてきた千夏には心外であろう。
「次、織斑君。お願いします」
山田先生から声を掛けられ、千夏は立ち上がって自己紹介をする。
「織斑千夏です。たまたま試験会場で迷ってしまった時に見つけたISを、興味本位で触ったら起動させてしまいました。趣味は機械いじりです。一年間よろしくお願いします」
途端に周りから拍手が上がる。どうやらファーストコンタクトは完璧のようだ。
「……ほう。随分と騒がしいがお前だったか」
いつの間に入ってきたのか、そこには『織斑千冬』がいた。
千夏の姉であり、基本的には弱みを見せない強い女性というのが千夏の印象だ。千夏にとって出来損ないである一夏が消えたせいで一時期は情緒不安定だったが、今は普通に暮らしている。ただ、一夏が消えて料理ができなかった千冬達は少し苦しかったが、それも千夏がすぐに料理を覚えたので過ぎ去った問題となった。
「あ、姉さん。やっぱり―――」
スパァンッ!!
問答無用の出席簿による攻撃。相変わらず姉さんの攻撃は痛い、と実感する千夏。
「織斑先生と呼べ」
「はい。織斑先生」
そして千夏は、何の疑問を持たずに着席した。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
暴力発言だが、これくらいはしないといけないだろう。
彼女たちは入ったばかり。ISに対する知識はあるといってもその扱いには慣れていないからもあるだろう。
千夏が思考している間に、生徒達はキャーキャーとはしゃぐ。
ソ
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