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不思議なスライム
薬草防衛戦A

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怒りで身体を震わせ、スラ太朗が吠えた。

「ギュー(よくもスラクックをやったナ)!」

スラ太朗は普通のスライムより大きい。
そして、キングスライムに似た体型をしている。
巨体から放たれる威圧。
戦いを見ていたスライム達は震えあがった。
あと言いたい事が1つ。
スラクック、死んでないから!

「キュー!」

スラ子は怯まなかった。
薬草が待っている。
薬草の為に負けられない。
薬草に勇気をもらった。
・・・・・・・・・・・・・・・・うん。
食い意地が張っているだけだ。

「キュ!」

石コロを拾って、また投げるスラ子。
ところが!
ぽよ〜んと、スラ太朗の筋肉に弾かれた。

「キュ!?」

「ギュー(みたカ、我が贅肉のチカラ)!」

贅肉かよっ!
それ自慢できないよ!
デカイじゃなくて、ただのデブだった!

「ギュー(次はこっちの番ダ)!」

転がりながら、スラ太朗は突撃する。
は、速い!?
まるで、シュートされたボールのようだ。
スラ子は間一髪で避ける。

「ギュギュギュ(くっくっく、これがスラ太朗の実力だ)。」

スラ吉が笑う。
では、説明をどうぞ。

「ギュー(ある3つが合わさる事で、あの爆発的な力が発動する)。」

ほうほう、その3つの力とは?

「ギュー(体重、怪力、キングスライムのような体型だ)。」

なるほど。
転がり易い身体を怪力で素早く動かし、体重を乗せて攻撃力を増加。
凄いぞ、スラ太朗。

「ギュー(俺はこれを、デスローリングアタックと名付けた)。」

ださっ!
別に名前つける必要ないよね?

「ギュー(スラ太朗、ぶっ飛ばしてしまえ)!」

「ギュー(了解ダ、おおおぉぉぉぉッ)!?」

勢いを殺さず、突撃しようとしたスラ太朗。
だが、向きを変えようとした場所は・・・。
急な斜面だった。
自分の重い身体と、猛回転中の速度。
踏み止まる事が出来ず、そのまま転がり落ちた。

ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、ズドン!

木に激突して、スラ太朗は止まった。
ピクピクと小刻みに、痙攣している。


「「「・・・・・・。」」」

スラ子は目を逸らした。
スラ吉は目を逸らした。
スライム達は目を逸らした。
目が覚めた彼は、恥ずかしい思いをするだろう。
でも、安心していい。
誰も何も見なかった。
見なかった・・・事にした。





スラ太朗・・・・・・・・・・・・・・・自滅。




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