第参話 《第一層ボス攻略戦》〜前編〜
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、アスナというらしい。
「リーダー。この後の指示よろしく」
「ちょっ、ふざけんなキリトテメェ。俺よりお前の方がこのゲーム知ってんだろうが」
キリトにぎりぎり聞こえる程度のボリュームを絞った声でシキは抗議する。
「俺がベータ経験者だってバレると、面倒だと思わないか?」
キリトの悪意ある正論にシキは屈して、面倒くさそうに的確な指示のみを下す。
「……今日はパーティーを組んで解散ということだったし、またここに集まるってことにしよう。何か、言っておきたいことととか誰かあるか?」
勿論、意見など誰もなかった。
「それじゃあ、明日の朝十時、ここに集合ってことで。解散」
六人のプレイヤーは一時的にパーティーを解除し、それぞれの一夜を明かす住居へと向かっていく。
○●◎
「ふぁ〜〜っ。……眠い」
時は進んでPM11:20。
シキ達三人は、最寄りの宿屋で部屋(ちなみにチルノのみ別部屋)を取って眠っていた。のだが。
シキはセットしておいたタイマーで目を覚ましていた。
「…………眠いなぁ」
寝ぼけ眼をこすりながら、大きな欠伸をひとつ。
起きた理由は、外に待ち人がいるからだった。
ウインドウを操作し、ラフな部屋着から黒の布装備に切り替える。
「シンは……寝てるか」
――――相変わらず、寝るのは子供みたいに早いな。
そんなことを考え、苦笑。実は自分の方が早く気を失っていたことを思い出したのだった。
「さて、それじゃあ……さて、お姫様に『お願い』とやらを聞いてこようかな」
ドアを静かに開き、そして同様に静かに閉める。
「…………」
宿屋二階の部屋を出て、階段を降りて外に出る。
空気を大きく吸って、頭のスイッチを入れ直す。
「さて……」
出てすぐの所にいないということは、庭だろうか。
そう思い、庭に足を向ける。
果たしてそこには、一心不乱に両手剣を振っている青髪の剣士がいた。
「……もしかして、待った?」
「……少しだけね」
大剣をドンッと勢い良く地面に突き刺して、彼女は汗を拭おうと額に腕を持ってきたが、そこには汗一つかいていなかった。
「…………」
はぁ、と小さく溜息。
「ねぇ、シキ」
「何だ?」
チルノは雲一つない夜空を見上げ、消え入りそうな声を吐き出す。
「ねぇ、シキ。このゲームは……本当に終わるの?」
どういう意味だ、とシキは問い返す。
「だってもう一ヶ月経ってるのよ? なのに一向に助けは来ない。それどころか外の世界がどうなってるかも解らない……。ちょっと絶望してきたわ」
自嘲じみた表情のチルノに、黒一色の暗殺者のような少年は静かに近づき、チルノからほんの二、三歩離れた場所で止まった。
そして少しの怒気を織り交ぜた静かな声で、ただ言った。
「……俺は明日のパーテ
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