第参話 《第一層ボス攻略戦》〜前編〜
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わったものの、声を発する者は誰一人いなかった。
「…………五月蝿い」
――――わけでもなかった。
シキの隣で話を聞いていただけのシンが、眼を閉じたまま眉根を寄せていった。
「な、なんやと?」
その怒りとも憎悪ともとれないシンの声に、キバオウは気圧されたように、一瞬足を引きかけたが、すぐに前傾姿勢を取り戻し声の主であるシンに向く。
シンはフードをかぶって静かに立ち上がり、シキの隣から離れて広場中央へと向かう。
怖気もせず、真っ向からキバオウと対峙し、まず、名乗る。
「すまない、名乗るのが遅れたが、俺はシンという。…………それで、アンタが言いたいのは、元ベータテスターが面倒を見なかったからビギナーがたくさん死んだ。その責任を取って、謝罪、賠償しろ、ということなんだろう?」
静かな威圧が込められた声に、キバオウは動揺の混じる声で「そ、そうや」と言う。
シンは聞くにや早く、ウインドウを出して一つの薄い冊子のようなものをオブジェクト化させる。
「これ、見たことあるか?」
「……ガイドブックやろ? それが―――」
「これを配布しているのはアンタの言う汚いベータテスターさんだ」
キバオウの言葉を最後まで待たず、割り込んでシンは言った。
キバオウだけでなく、多くのプレイヤー達がざわめきを発した。
そしてシンはキバオウだけでなく、周りのプレイヤー達にも向けて言葉を紡ぐ。
「いいか、情報はいつでも手に入れられたんだ。だが、たくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえ、俺達はどうボスに挑むべきなのか、それをこの場で論議されると俺は思っていたんだが……期待した俺が馬鹿だった」
終始静かな口調のまま言い終え、キバオウを見やる。
彼は不満げな顔と歯軋りしながら、身近の席に乱暴に座った。
シンは「会議を中断させてすまない」とディアベルに頭を下げ、シキの隣りに戻った。
「よし! それじゃあ会議を再開する!」
青い騎士は言って、ポーチからシンが先程見せたものと同じような冊子を取り出す。
「よし、それじゃまずはボスの情報だけど、ボスの名前は《イルファング・ザ・コボルドロード》、そして取り巻きに《ルインコボルド・センチネル》というモンスターが居る。コボルドロードは普段斧と盾を使うようだ。だけど、四段ある内の最後の一段になった直後に曲刀に持ち帰る。勿論、攻撃パターンも変わる」
薄い攻略本を閉じて、ディアベルは顔を凛とした声で、
「攻略会議は以上だ。最後にアイテム分配についてだが、金は全員に自動均等割り振りされ、経験値はモンスターを倒したパーティーのもの、アイテムはゲットした者のものとする」
依存はないな? という騎士の声にまばらながらも肯定の声が上がる。
「さて、それじゃ今日はパーティーを組んで解散だ! 明日の十時、またここに集合! 役割分担
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