暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第参話 《第一層ボス攻略戦》〜前編〜
[3/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
明日には突破できるんだ……第一層、そのボスを!」
ざわざわとざわつく声。
シキ達も驚かなかったわけではないが、まぁ有り得ない話でもない。
何しろ、このデスゲームが始まってからもう一ヶ月が過ぎているのだから。
「ここまで、一ヶ月かかった。何人が犠牲になったかなんて解らない。でも、俺達は示さなくちゃいけない。ボスを倒し、第二層に到達して、このゲームもいつか終わるんだ、ってことをはじまりの街で待つみんなに伝えなくちゃいけない。それが、トッププレイヤーの、俺達の指名だ! そうだろ、みんな!!」
腕を突き上げ叫んだディアベル。そして、しばし間を置いて喝采が弾けた。
シキも適当に拍手を送る。シンも同様の拍手。チルノは腕を組んだままだった。
「ちょお待ってくれへんか? ナイトはん」
その時、喝采を切り裂く低い声。
歓声が止み、人垣が二つに割れた。その中央に立つのは、がっしりした身体の背に大型の片手剣を背負ったイガグリのような尖った特徴的な髪型をした男だった。
一歩踏み出し、ディアベルとは対照的な唸るような濁声で男は言う。
「そん前に、これだけは言わんと仲間ごっこもできひんわ」
唐突な乱入者。しかしディアベルは眉一つ動かさず、余裕の笑みを顔に浮かせたまま、
「これだけは言わせてもらいたいっていうのは、何のことかな? まぁ何にせよ、意見は歓迎するよ。でも、名前くらいは名乗って欲しいのだけどね?」
「…………フン」
男は鼻を鳴らすと、噴水の一歩手前で立ち止まり、プレイヤー達に向き直った。
「わいは《キバオウ》ってもんや」
キバオウはその鋭く光る眼で、この噴水広場に集まったプレイヤー達を睥睨した。たっぷり時間を掛けて見回した後、キバオウは先よりもドスの利いた声で言った。
「こん中に、五人か十人、ワビ入れなあかん奴らがいるはずや」
「詫び? 誰にかな?」
ディアベルの問いに、キバオウは憎々しげに吐き捨てる。
「決まっとるやろ、今までに死んだ二千人のプレイヤーに、や。あいつらが何もかも独り占めしたもんやから、たった一月でこんな死人が出たんや!」
ざわめきが消え、水を打ったような静寂が広がる。
「キバオウさん。君の言う《あいつら》というのは……元ベータテスターのこと、かな?」
当然だ、とでも言いたげに鼻を鳴らすキバオウ。
「ベータ上がりの連中は、こんクソゲームが始まったその日に、初心者(ビギナー)達を見捨てて消えよった。奴らは旨い狩場やらボロいクエストを独り占めして、自分だけポンポン強なって、その後もずーっと知らんぷりや。こん中にもおるはずやで! ベータ上がりの奴らがな! そいつらに土下座さして、溜め込んだ金やアイテムを吐き出して貰わな、パーティーメンバーとして命は預けられんし、預かれんわ!!」
ベータ経験者(テスター)達への糾弾が終
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ