第参話 《第一層ボス攻略戦》〜前編〜
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だろうと思ってたヨ。……しっかし、五十万コルは言い過ぎじゃないか?」
知るか、とシキはぶっきらぼうに言ってから、
「何なら体験してみるか? その感想とかを依頼主に伝えればいい」
「冗談キツいナ。オレっちがそんな自己犠牲の精神なんて持ってるハズないだろ」
それからしばらく話した後、情報交換を終え立ち去ろうとしたシキに、背後からアルゴの声がぶつけられた。
「ああ、そうそう。今回の攻略戦の人数、アンタら含めて四十八人――――フルレイドらしいゼ」
「……お前に参加すると伝えた覚えはないが」
「ここに来てるってことはそういうことじゃないのカ?」
微かに舌打ちして、シキは薄暗い鼠の領域から抜け出た。
いつの間にか作り物の太陽が沈みかけていた。ついでに会議の始まる時間になっていたらしく、噴水広場には大勢の人が集まっていた。
「やべっ!」
シキは大急ぎで駆け出した。
○●◎
「遅かったなシキ。何かあったのか?」
「あ、ああ。ちょっとした災害にな」
ゼーハーと肩で息をしながら、キリトの問いに答える。
「……? まぁいいか。レベリングはどんな感じだ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
息を整えながら、あたりを見回す。まだ会議は始まっていなかったらしく、様々なプレイヤーが友人と思わしき者達と喋っている。シキは安堵の混じった息を吐き出すと、
「レベル? 俺は今、12だったかな。シンも12、チルノは11だ」
「おい待て、何か聞き覚えのない名前があったんだが」
「気にするな。聞き間違いではないが、また話す機会もあるだろ」
言い終えると力尽きた風にキリトの隣にしゃがみ込む。
「シキ、こんな所にいた、ってキリトじゃないか」
「よう、シン。久しぶりだな。一ヶ月ぶりくらいか」
シンは同意の頷きを返すと、チルノを招き寄せる。
チルノは面倒臭そうな挙動でシキ達の近くに寄った。
「五分遅れたけど、まぁいいよね! 全員いるよね!」
そんな元気ハツラツな声が聞こえ、その音源に目を向ける。
「はいはーい! それじゃあ会議、始めさせてもらいます! おっと自己紹介忘れてた! 俺《ディアベル》っていいます! 気持ち的には《騎士》やってまーす!」
青髪の青年がそこで皆の注意を引いていた。どうやらこの青年がこのメンバーを集めた者だろうとシキは直感した。
どっ、とプレイヤー達が沸き、拍手や口笛、そして楽しげなヤジが飛んだ。
「さて、こうして最前線で活動している、まぁトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は…………まぁ言わなくても分かると思う」
そこで青髪の騎士様は、右手をさっと振り上げ、彼方にそびえる第一層迷宮区を指し示す。
「今日、俺達のパーティーがあの塔の最上階を完全にマッピングした!
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