第参話 《第一層ボス攻略戦》〜前編〜
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「《トールバーナ》……。ここか」
シキ達はキリトから送られてきた簡素な地図を確認し、半日かけて《ソエリア》から第一層迷宮区周辺の村《トールバーナ》へとやってきていた。
「……ソエリアと雰囲気がだいぶ違うな」
そう答えたのは傍らの全身刺青で半裸の少年、シンだった。
補足しておくと好きでそういう格好をしているわけではなく、武器防具問わずそういった装備品が装備できないのである。
「ソエリアが田舎村なら、この村は発展途上の村ってとこかしら?」
あたりを興味深そうに見るのは青い軽鎧の上にハーフコートを身につけ、両手剣を背負っている少女、チルノだった。
「言い得て妙だな」
苦笑して頷くのは、チルノと同じく動きやすそうな布系装備全身を固め、後腰にダガーを差している少年、シキ。
「何度も言うようだが、待ち合わせ場所は噴水広場。村の中央にあるらしい」
キリトから送られてきたメッセージにもう一度目を通し、二人に知らせる。
「何回も言わなくてもわかってるわよ」
チルノはふん、と鼻を鳴らした。
「悪かったよ。じゃあ、それまで各自自由行動で。時間には遅れるなよ」
三人は各々村の各所に散らばって散策を始めた。
○●◎
「………………」
路地に入った直後、背後から粘つく視線を感じてシキは振り返る。
振り向いた先には、背の低い女がいた。全身皮装備に特徴的な三本ヒゲのペイント。背は低い部類に入るが、彼女が放つその独特な雰囲気は年齢を包み隠している。
「相変わらずスゲー索敵能力だナ」
けけけ、と女は奇妙に笑う。
「しかもそれがスキルによる索敵じゃねーときてる。単純なカンなのか? それとも何かのスキルなのか? どっちかぐらい教えてくれたっていいだロ?」
特徴的な語尾を使う女に対してシキが取った行動はごく単純なものだった。
元の進行方向へと向き直し、そのまま歩き去ろうとした。
「ちょ、ちょちょちょ! ちょい待ってよシッキー!」
しかし恐るべき速度で近づいてきた女がシキの進行方向に立ち塞がった。
「五月蝿い。アンタに売る情報は無いと前にも言ったろう」
憮然とした表情でシキは女、《鼠のアルゴ》と対峙した。
「いいじゃんかヨ、スキル情報くらい」
アルゴは先程より幾分か余裕を欠いた声音で話す。
「いいわけあるか。……今回の依頼主サマは、そんなに知りたがってるのか?」
「まあナ。とは言っても、オイラ自身も興味あるんだが」
「いくら出すって?」
シキの問いに、アルゴはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの楽しそうな声で、
「なんと三万コルだゼ? これで少しは――――」
「少ない。俺を落としたいなら五十万コルは用意しとけ、って依頼主サマに言っておけ」
アルゴはその返答を聞き、余裕の混じる声を発する。
「だろうナ。話す気無し
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