弐之半 《女王》
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随分早いわね」
その中の一つ、少女はそれに目を付ける。
その映像には、三人のパーティーが異形の化物と戦っていた。
○●◎
「ウォオオオッ!」
シンが吼え、クイーンの触手に似た巨大なツルを横合いから殴りつけて避ける。
「………シュル、シュルルル……!!」
《クイーン・ネペント》は《リトルネペント》の身体を二倍――否、三倍程巨大化させ、胴体下部の根っこはその身体を支えると同時に移動用であり、そして攻撃にも使う。《リトルネペント》の鋭い葉っぱのついたツルは左右合わせて二本だが、クイーンは左右に三本ずつ。つまり計六本である。
クイーンはツルを不気味に空中で何度か振り回し、今度はシンに全六本の内二本のツルを叩きつける。
「たぁっ!」
チルノがシンとツルの間に割り込み、チルノの使う両手剣と二本のツルがぶつかり金属音に似た音と眩いライトエフェクトが炸裂した。
「今よっ! シキ!」
「ああ!」
身体を一度沈め、足をバネのように扱い一気にクイーンへ突進する。
クイーンは敵の接近を感知し、右側のツルをうねらせ、シキを迎撃する。
シキの斜め右から襲い来る一本目のツルをくるりとターンし、肉体の軸を変えて避ける。
更にシキの右と左上からのツルを肉薄し、意識を集中させ、それを行動に移す。
二本目とほぼ同時に迫り来る三本目のツルを、ツルとツルの隙間へと身体を捩じ込んでシキは跳ぶ。
それすら予測済みだとでも言わんばかりに、クイーンは即座に残る一本のツルを横殴りに叩きつけようとツルを引き絞った。
「―――【アイスブレス】!」
だが、かつてない程の速度でシンがウインドウを呼び、マガタマ《ワダツミ》を口に放り込んで叫ぶ。
一度胸を反らし、身体を仰け反らせ大きく息を吸い込んで、シンの口から蒼いエフェクトを伴った冷気の砲弾を吐き出される。
砲弾はシキへと向かうツルに直撃し、一瞬の内に凍らせてしまう。
(ナイス、シン!)
心中で最大限の感謝を表し、着地と同時に再び走りだす。
駆け出したシキは足を動かしたまま、獰猛に笑った。
「……オマエ、運がいいよ。俺みたいな、とびっきりの大凶を出会っちまうなんて、さ」
クイーンは必死に自身の持つ残りの武器を動かそうとし、そして既に死神は眼前に居た。
「じゃあ、さよならだ。来世からやり直せ、なんて言わないが……もう、二度と会わないことを祈ってるよ」
簡素な別れを告げ、シキは女王の線を一閃した。
○●◎
「中々、綺麗なトドメだったね。彼が……」
「そう。彼がシキ君だ」
少女は心底楽しそうにくすくすと笑う。
「嗚呼、最後まで美しかったけど――――彼は私の想像よりもカッコ良かったわ」
「ふむ……。主にどのあたりがかな?」
それはね、と少女は楽しそう
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